2019年度新雪期合宿

目的:雪上技術の習熟、冬山とのファーストコンタクト

1.対象:富士山御殿場ルート

2.期間:2019年12月1日~12月7日

3.参加メンバー:浅川(4年CL)、中島(4年SL)、真道(2年)、田代(2年)、小池(1年)、田中(1年)

4.概要:

① 12月1日 15:30部室集合~18:30バスタ新宿~20:30御殿場駅~22:30新五合目幕営

 部室に集合の後、装備の最終確認とパッキングを済ませ、路線バスでバスタ新宿へ向かう。人込みをかき分けつつ高速バスに乗り込むと週末のUターンのためか満席であった。御殿場駅で夕食と朝食を調達し、タクシーで富士山御殿場ルート新五合目に向かう。11月末に太郎坊のゲートは閉まってしまったようなのでヘッドライトを点灯させ、30分ほど歩き新五合目に到着。素早く幕営を済ませ就寝。

② 12月2日 4:00起床~終日停滞  雨

 気温が高く起床時から季節外れの雨が降っていた。予報では午後にかけて雨風共にさらに強まる予定であり、また雨具等を持参していなかったため、初日から装備を濡らすリスクを鑑み新五合目で停滞。

③ 12月3日 3:30起床~5:00新五合目発~9:30五合小屋~12:30七合五勺小屋TS  晴れ

 5:30出発予定であったが炊事がスムーズに進み30分短縮して出発。幸い天候に恵まれ、無風の星空の下順調に進む。五合小屋手前あたりで雪が本格的につき始めたためアイゼンを装着する。雪の出始めは昨年と同程度であったが、前日の雨の影響か雪面がクラストしており慎重な歩行が求められた。目的地の七合五勺小屋に到着すると、小屋付近は前年よりも雪が多いようなので翌日の訓練は小屋裏の斜面で行うこととした。

荷物に苦しむ部員たち
景色に目を向ける余裕はない

④ 12月4日 4:00起床~7:00訓練開始~10:00中島合流~11:30七合五勺~15:00訓練終了  晴れ

(訓練内容:雪上歩行4hr 確保三種、支点構築 2hr)

 風が激しく吹いているため訓練開始を繰り下げ、テント内で待機する。日の出からしばらくすると風も弱まりだしたためテントから這い出すと、テント外張りの張り綱を通すスリーブ部分が激しく損傷している。設営時に外張りとテント本体間に風が吹き込まないよう外張りの裾にかぶせた雪が強風ですべて吹き飛ばされ、外張りが激しくあおられることで損傷したものと考えられる。イボイノシシを用いて外張りの裾を雪面と固定し、訓練を開始する。中島が雪のある地点まで到達するまで時間があるため前日選定した七合五勺小屋裏の斜面でアイゼン歩行訓練を行う。9:00頃に訓練を一時中断し、中島を迎えに下降を開始。五合小屋上に雪上歩行訓練にちょうど良い斜面を発見したため訓練を行いつつ中島を待ち、10:00頃中島と合流、七合五勺小屋へと登り返す。アイゼン歩行は前日の入山と中島の出迎えによりクラストした斜面と強風の中、実践的な雪上歩行を行った結果、訓練初日にして雪上での高いバランスを身に着けているようであった。歩行訓練の後1年生に支点構築をさせ、確保三種を行う。確保に関しては1年生ともによく出来ていたが、田中は実地では初めての訓練であったため支点構築に時間がかかっており翌日以降の訓練課題を見出すことができた。予定では滑落停止訓練を行う予定であったが斜面が硬く締まっているため危険と判断し、行わなかった。

幕営地からの日の出
天気は良いが風が強い

⑤ 12月5日 4:30起床~7:00撤収~9:00訓練開始~13:30訓練終了~15:00二合八勺TS幕営  晴れ

  (訓練内容:雪上歩行 1hr スタカット4P 2.5hr 懸垂下降、fix通過 1hr)

 前日より吹き続けている強風によって外張りの損傷が悪化、テントを支えるポールの一本がテントの変形により抜け落ち紛失、加えて夜にはさらに風が強まる予報であったためこれ以上七合五勺に滞在するのは危険と判断し、下部にテントを移動させることに決定した。対象として五合小屋にテントを幕営することも考えるが中島入山の際、小屋に6~7人用テントを張るスペースが無いことは確認できていたため二合八尺までテントを下すことに決定。テントを撤収し下降する途中、五合小屋下に訓練にちょうど良い斜面を発見したため、二合八勺に降りる前に訓練を行った。雪上歩行に関しては連日の締まった斜面での歩行により申し分のないレベルに到達しているようであった。雪上歩行訓練の後1年生同士を組ませ、スタカットを4ピッチ行う。システムに関してはクライミングでの訓練により問題はなかったが、ロープを絡ませるなど精細を欠く場面が所々見られ、さらに練習を重ねることが必要のようであった。一方スノーバーを用いた支点構築では評価した斜面に難儀していたが、昨日に比べ時間を短縮できていた。その後懸垂下降とfix通過の確認を行い、下降を開始する。30分ほど下ると二合八勺の平坦地に到着、紛失したポール部分は予備ポールで代用し幕営、行動を終了とした。

二合八勺にて
最早雪はない。落石に注意。

⑥ 12月6日 4:00起床~5:30TS発~6:30訓練開始~14:30訓練終了~15:00帰幕  曇りのち晴れ

  (訓練内容:雪上歩行 2hr スタカット6P 2hr セルフレスキュー 3hr  搬送訓練 1hr)

 まだ暗くガスの巻く中、道標を頼りに前日の五合小屋下の訓練場所に向け出発。1時間ほど歩くと日の出とともにガスは霧消し、同時に訓練場所に到着。雪上歩行をさらに洗練させるため細かな不備に注意しつつ、2時間歩きこむ。休憩を挟み、次いで前日の課題であったスタカットを行う。支点構築のスピード向上や1年生同士でのミスの確認により、前日に比して大幅に時間の短縮ができていた。システムに関しては問題がないようなので、様々な要素の絡まりあう実際の登攀を見越して練習を重ね、さらに練度を挙げていく必要がある。その後自己脱出や仮固定、1/3システムによる引き上げやカウンターラッペルを1年生と2年生それぞれのペアに分かれ練習する。スノーバーを用いた実際の支点での訓練により、部室で学んだシステムではわからない荷重の掛かり方などを確認する良い機会になった。最後にツェルトを用いた雪上での搬送方法を全員で確認し、訓練を終了とした。セルフレスキューや要救助者の搬送はスタカット等に比べ、実際に直面しにくい技術ゆえに細部をなおざりにしがちだが完全な習得をしていない場合、致命的なものになり得るため合宿などの節目に実地で練習を行うことは必要不可欠なものと言える。

⑦ 12月7日 4:30起床~6:00TS発~8:00宝永山基部~10:00宝永山山頂~11:30下降開始~13:00撤収~14:00新五合目登山口  曇りのち晴れ

  (訓練内容:スタカット 2hr 懸垂下降、雪上歩行 1.5hr)

 雪上歩行と各種技術の確認を兼ね、宝永山に向かうことを決定。明るくなるのを待ち小雪の降る中二合八勺を出発。五合目まで一般的な登山道を登りトラバースした後宝永山に取り付くことも考えるが、視界不良時には迷う可能性もあるとし、大砂走りを直登し宝永山に向かうことにする。200mほど標高を挙げると登山道に雪が付き始めたためアイゼンを装着、山頂まであと標高差100mというところで訓練の確認のため1年生同士を組ませスタカットを行い山頂に向かう。雪面が硬くスノーバーが十分に刺さらない場合の処理やアックスを用いた支点構築法を確認しながらの登行となったが、システム、スピード共に1年生としては十分な水準に到達しているようであった。6ピッチスタカットを行うと稜線に出たためロープを畳み山頂に向かうが、稜上は太平洋側から激しい風が吹きつけていたため、素早く山頂を往復しすぐに稜線から下りる。時間が早いため稜線上から下りる過程で2ピッチ懸垂下降の確認を行い、下りた先の宝永山斜面で雪上歩行を行う。傍目では歩行には問題はないようなので、1年生各自の苦手と思う歩行を重点的に最終確認し下降を開始する。二合八勺のTSを素早く撤収し1時間ほどで新五合目の登山口に到着。登山口にデポしていた品目を回収しようとすると、食材の包装をしていたゴミを中心に周辺に散乱していた。財布等貴重品がなくなっている様子はないため獣か鳥の仕業だろう。辺りの掃除を行った後、太郎坊のゲートへ下る。ゲートからタクシーに乗り込み、途中温泉施設に寄りつつ御殿場駅に下山、合宿を終了とした。

訓練の一コマ
とにかく寒い!
宝永山山頂にて
爆風で目を開けていられない