谷川岳 烏帽子沢奥壁南稜

1.対象:谷川岳 烏帽子沢奥壁
2.日程:2021年10月14日
3.参加メンバー:真道(4年) 小池(3年)
4.概要:3:45 谷川岳ロープウェイ~4:30 一ノ倉沢出合~6:00 テールリッジ基部~7:25 南稜とりつき~10:15 南稜終了点~10:35 懸垂開始~12:15 懸垂終了~12:45 烏帽子スラブ下降開始~14:45 一ノ倉沢出合~15:15 土合橋バス停

前日に土合駅に入り翌日に備えた。早朝から行動し、4時30に一ノ倉沢出合に到着。

テールリッジまでは、しばらく沢を詰めて途中から右岸側の樹林に入っていく、樹林帯には赤テープがある。しばらく歩くとまた沢に出る(ケルンが目印)、さらに沢を詰め、左岸に移りヒョングリの滝右岸へのfixロープを見つける。ここまで、陽の光がなかったのと沢を詰め過ぎていないか不安になり、ロープを見つけるまで時間がかかった。ロープが掛かっている壁を登り、ヒョングリの滝を右岸から巻くため、泥だらけの踏み跡を進んでいく。割と長めに歩くと懸垂点を発見する。ここから沢床に50メートル懸垂下降、帰りはここを登る(下部はfixがあるが上部にはなく泥だらけで悪い)。

↑ 日の出と共に現れる衝立岩

ようやくテールリッジ基部に到着し登り始める。テールリッジにはfixが張ってあるが芯が剥き出しになっているものも多く、あまり信用できない。fixを頼りにせずとも手がかりは多いので登れる。ただ滑りやすいので注意した。今回は乾いていて登りやすかったが、濡れていたら厳しいだろう。

↑ テールリッジ基部

40分程度歩き中央稜基部に到着。その後烏帽子スラブをトラバースして南稜テラスへ。すぐに準備を整え登攀開始。

1p目(小池) 凹角からチムニー。チムニー内は若干濡れていたが問題なく通過。

2p目(真道) フェースからバンド、フェース。ホールド、スタンス共に豊富。

↑ 2P目 凹状フェース

3p目(小池) 草付き。藪をかき分け少し岩を登ってピッチを切った。

↑ 3P目 藪をかき分けて

4p目(真道) フェース。3p目を少し長めに登っていたため、すぐに終わってしまった。

5p目(小池) ルンゼからリッジ。右側のルンゼを登り過ぎてしまった気がする。リッジに上がる際にⅢ級とは思えないやや傾斜のある脆いフェースを登った。ロープは50mいっぱい。早々にリッジに上がるのが正解だと思う。

↑ 5P目 ルンゼを登り過ぎたか

6p目(真道) クラック。これまた5p目を長めに登ったので、4mほどクラックを登り真道さんの仕事は終わってしまった。

7p目(小池) フェース。ランナーは豊富に取れ、ガバも多い。核心では左手のキーホールドが濡れていたので、左手アンダー・右足ハイステップで右のホールドを取った。キーホールドは経由程度で使った。後はテラスに上がるのみでトップアウト。

↑ 7P目 仕事が少なかったと嘆いていた真道さん 良い写真撮れましたよ!

3時間弱で登れ少し物足りなさを感じたが下山に時間が掛かると読み、すぐに懸垂へ。使った懸垂点を今後のために記録しておく。

↑ 最初の懸垂点 ここから6ルンゼ右俣を下降 50m

2回目は写真はないがペツルのハンガーがある。ただカタカタ動くので、隣にある残置の安環にもロープを通す。40m

↑ 3回目 4p目終了点 50m ここは途中にある草付き上部で切ってもいいかもしれない
↑ 4回目 2P目終了点 25m程下降
 ↑ 5回目 1P目終了点 40m下降

最後の懸垂はチムニーにロープが挟まり、スタックしかけたので注意。ロープがチムニーに干渉しないように懸垂する。

懸垂後は休憩を挟み、烏帽子スラブ・テールリッジを下る。水が所々染み出しており、滑りやすいのでかなり慎重になる。念のためfixにデイジーをかけながら降りた、雨が降ったらスリップする危険性が高い。最後に少しロープを出し、テールリッジ基部に辿り着いた。

その後、懸垂で降りてきた泥壁を登り来た道を戻る。泥壁上部はfixがなく悪い、直上するのではなくある程度登ったら左にトラバースしてテラスに上がると良い。あとは、泥に足を取られないように下山。

↑ 懸垂で降りた泥壁を登り返す 

途中献花があり二人とも手を合わせ登山の無事を報告する。一の倉沢出合には観光で来た方が数名おり、暖かく迎えてくれた。後ろを振り返ると衝立岩は雲に隠れ見えなくなっていた。

↑ 衝立岩はガスに覆われてしまったが、ガッツポーズする真道さん

総括:僕が山を始めてからの憧れであった一の倉沢へ。今回は烏帽子沢奥壁南稜のみと入門編でしたが、谷川岳独特の草付きや染み出し・雪渓がない時のアプローチを経験したのは良い収穫。また、衝立岩や南稜から見える滝沢の威圧感とスケールには圧倒されました。ここを大正から昭和にかけて多くの遭難者を出しながらも登攀していたことを考えるとやはり昔の人は凄まじいですね。

魔の山と呼ばれ足を踏み入れるのを躊躇する谷川岳一の倉沢、そこには人を惹きつける素晴らしい岩壁が待っていました。さらに力を付けて違うルートにもトライしていきたいです。

文責:小池