2023年度新人合宿

1.日程
2023年6月19日(月)~2023年6月25日(日)

2.対象
北アルプス 奥穂高岳・涸沢カール

3.メンバー
3年 岩波C.L.(装備) 2年 上村S.L.(医療・気象)、吉澤(食料) 1年 大元 鈴木雄大コーチ、成田コーチ

4.概要

6月19日(月) 天気:晴れ

19:30部室集合~21:25部室出発~21:50新宿駅~22:25バスタ新宿出発

19時半に部室に集合した。ほとんどの準備は土曜日の合宿準備の時に終了していたので残りの生鮮食品のチェックとパッキングを済ませる。千野先生が部室に来てくださり、たいやきをいただいた。21時半前に部室を出発しバスタ新宿に向かう。バスタ新宿には山賀コーチと高田さんが来てくださり差し入れをいただきバスに乗り込む。いつもより快適な独立3列シートのバスに乗って上高地に向かった。

6月20日(火) 天気:晴れのち曇り 

5:30上高地バスターミナル着~6:00鈴木雄大コーチ・成田コーチと合流~6:20上高地出発~8:10徳沢~9:00横尾9:10~10:09本谷橋~12:45涸沢ヒュッテTS~13:30雪上訓練15:00~15:40設営完了~20:00就寝

5時半に上高地に到着し、6時に鈴木雄大コーチと成田コーチと合流。ザックの重さは岩波30㎏弱、2年生30㎏中盤、大元25㎏強であった。支度を整え6時20分に上高地を出発。8時ごろに徳澤園に到着し、あいさつに行くが上條社長は不在であったのでお土産だけ渡し帰りにまた来るとスタッフの方に伝える。その後横尾で一度休憩をして、横尾大橋を渡り涸沢方面へ。本谷橋から傾斜がきつくなるが、荷物の重い2年生も頑張って登る。涸沢まで残り30分ぐらいのところから雪が出てくる。傾斜もゆるくアイゼンなしでも登れるがアイゼン歩行の練習を兼ねてアイゼンをつけ登る。涸沢には13時前に到着し、ヒュッテわきに荷物を置き近くの斜面で、コーチ達の指導を受けながらスノーバーの縦埋め、横埋めや流動分散、固定分散などの支点構築を練習する。15時ごろに訓練を終了し、テント設営をする。夕飯はキムチ鍋とレザートのリンゴソテー。リンゴソテーは試行錯誤の末アップルパイのリンゴのようなトロトロのリンゴが出来上がった。シナモンもあっておいしかった。明日は4時起床とし、20時に就寝した。

6月21日(水) 天気:曇り 

4:00起床~5:28出発~6:00雪上訓練開始~10:00鈴木雄大コーチ下山~15:00訓練終了~15:30帰幕~17:30夕食~20:00就寝

4時起床。5時出発を目標にしたが、一つ一つの動作が遅く、結果目標の時間よりも30分ほど遅れてしまう。大元には起床から火をつけるまでの時間など一つ一つの動作を早くするように伝え、2年生にも大元に急ぐよう指示することや、大元の技術養成のために過度に手出ししないよう伝えた。6時から6.7のコルの斜面下部で雪上訓練開始。コーチが二人いるうちに技術系の訓練をやることし、まず昨日の支点構築の復習と確保3種(肩がらみ、腰がらみ、スタンディングアックスビレイ)を2時間ほど行う。大元はとてもよくできていた。次に滑落停止を1時間ほど行う。大元ははじめ全然停止できなかったが、1時間後には及第点ぐらいにはなったので、懸垂下降の訓練に移った。滑落停止の訓練終了後の10時頃に鈴木雄大コーチと別れた。懸垂下降は特に問題はなかったので1時間ほどで終了した。成田コーチに土嚢支点での懸垂下降を習い支点の強度的にも問題のないことを確認した。午後は歩行訓練に移り、ツボ足とアイゼン歩行を行なった。これに関しては型をまず一通り教えた。型は問題なかったので蹴りこみなどの精度は明日以降あげていくこととした。15時半に帰幕した。夕食後持ってきたゼラチンでゼリーを作ったがとてもおいしかった。22日は雨予報だったが、小雨ならできる訓練をするという方針で4時起床とすることにし、20時に就寝した。

↑訓練地にて(右から成田コーチ、吉澤、大元、上村、岩波、鈴木雄大コーチ)

6月22日(木) 天気:雨 

4:00起床~5:05出発~5:30雪上訓練7:30~(テントで待機)~10:00雪上訓練14:00~14:10帰幕~17:00夕食~20:00就寝

4時に起床。朝の準備は昨日に比べれば早くなっていたが米を炊くときの水の量の調整などで時間がかかり食事開始が4時40分であった。その結果出発時間に5分間に合わなかった。米の味も大事でないわけではないが、それ以上に素早くすることが大事であり、水の量なども後で調整しなくて済むように初めの段階で入れる量を決めておくように伝えた。5時半にスタカット訓練を開始。大元と吉澤がペアを組み大元に上村と成田コーチ、吉澤に岩波が付いた。スタカットの準備の段階でロープをほどくのに時間がかかり開始まで23分以上かかった。5時半ごろから雨が降り出したこともあり、セットをやり直す前に2p練習をする。2p目の終了後、ロープのほどき方を復習しもう一度セットをやり直させる。今度はだいぶ早くなり15分でできた。3p目は大元リードで行ったが雨が強くなり、7時半に一度訓練を中断し、テントで物乾をしながら雨が弱まるまで待機。10時頃に雨が弱まったので訓練再開。雨が強くなった時すぐ帰れるようテントのすぐ近くの落石のリスクの少ない斜面で訓練を行う。もう一度同じペアでスタカットをする。セットに14分、4p目は大元リードで19分58秒、5p目は吉澤リードで19分46秒であった。目標の20分を切ったので今日のスタカット訓練は終了し、Fix通過を1時間、アイゼン歩行を2時間行なった。昼ごろからまた雨が強くなった。14時に訓練を終了し14時10分に帰幕した。夕食を食べ20時に就寝した。

6月23日(金) 天気:雨時々霧 気温:10℃

4:00起床~5:30出発~6:00雪上訓練8:30~9:00訓練地出発~13:40 五・六のコル14:00~16:00帰幕~18:00夕食~20:00就寝

4時に起床。起床時は雨が強く降っていたが、5時前に弱くなったので訓練をすることに決定。依然として朝の作業スピードが遅いため1つ1つの動作を効率化し、明日は間に合うように伝えた。5時半に出発した。天候は小雨であり霧が出ていた。天候の回復を待ってから5.6のコルに行くことし、まず歩行訓練を行う。アイゼン歩行を2時間ほど行い9時ごろになると霧が薄くなり5.6のコルも見えるようになったので9時に出発。大元と上村のペアでスタカットを行う。大元→上村の順にリードをする。傾斜も急になってきており大元にもだい疲れが見えたので休憩をする。まだ大元が手順を間違えることもあり、まだ合格点に達していないと判断し、ペアを上村から岩波に代えて休憩後スタカットを再開。10p目で手順の間違えがなく20分も切ったので及第点としてスタカットを終了した。5,6のコル直下の草付きを登り13時40分に到着。ここで20分ほど休憩をして14時に出発。下りは懸垂下降を60m、2p行った。ロープが絡まり時間がかかっていた。16時に帰幕した。明日の奥穂高岳アタックは天候の問題なさそうであったので、朝に1時間ほど大元の歩行を確認し問題ないようであればアタックすることにし、夕食を食べ20時に就寝した。

↑5.6のコルから下の斜面(上村撮影:前から成田コーチ、大元、岩波)

6月24日(土) 天気:晴れ 

4:00起床~5:10出発~5:30雪上訓練7:05~7:30訓練地出発~9:25白出のコル(穂高岳山荘)9:35~10:19奥穂高岳10:40~11:18白出のコル(穂高岳山荘)~15:00帰幕~18:30夕食~21:30就寝

4時に起床。天候は問題なさそうであった。出発時間からまた10分過ぎてしまっていたので、明日こそは必ず間に合うように伝える。奥穂高岳アタックまえにツボ足1時間、アイゼン歩行30分、滑落停止を15分行い大元の習得度を確認する。特に問題がなかったので7時半にアタック出発。小豆沢は例年よりだいぶ融雪が進んでおり岩の露出しているところも多かったので、落石の危険の少ない雪の付いた斜面を選んで登っていく。途中1回休憩をはさみ9時半前に穂高岳山荘に到着しここでアイゼンを外した。穂高岳山荘より上は全く雪がなく夏道と変わらなかったためFixを張るような箇所はなく2年前より早く行動できた。大元は時折見えるジャンダルムに感動していた。10時19分に奥穂高岳の山頂に到着した。記念写真を撮り20分ほど休憩し10時40分に下山を開始した。11時過ぎに穂高岳山荘に着きここで再びアイゼンをつけた。コル直下の急斜面は懸垂下降をした。上村と吉澤が交互に先頭で降り成田コーチについていただき、そのあと大元、もう片方の2年生の順に降りて最後に岩波が支点を回収して降りるという形を繰り返した。支点構築とスノーバー受け渡しにだいぶ時間がかかってしまった。60m、4pの懸垂下降をした。傾斜が緩くなったところで終了しロープをたたみ小豆沢を下る。15時に帰幕した。

↑奥穂高岳山頂にて

帰幕後は昨日作ったゼリーと岩波が持ってきたポップコーンを食べた。その後夕食のカレーを作っておいしく食べた。その後上村が仲良くなった涸沢ヒュッテの方からウィスキーを頂いた。明日は1時間遅い5時起きとし、21時半に就寝した。

↑ポップコーンを作る岩波

6月25日(日) 天気:晴れ 

5:00起床~6:43出発~6:54涸沢ヒュッテ~8:02本谷橋~8:43横尾8:48~9:33徳澤園10:10~11:21上高地=下山

5時に起床しテント撤収をして6時30分過ぎに出発。生活技術はまだ改善が必要だ。涸沢ヒュッテで昨日のお礼を言い下山開始。昨日までとは打って変わって太陽が照りつける良い天気になった。全員サングラスをする。ヒュッテ直下の斜面は傾斜もゆるく踏み跡も豊富だったのでアイゼンなしで下った。雪のなくなったところでアイゼンを外し、8時過ぎに本谷橋に到着した。本谷橋から40分ほどで横尾につき5分だけ休憩をして徳沢に向かう。徳沢には9時半過ぎに到着した。徳澤園では上條社長に挨拶をし、アイスクリームとピザを頂いた。上村は夏山合宿終了後2週間ほど徳澤園でアルバイトをするそうだ。徳沢からは各自上高地を目指して歩く。11時半ごろに上高地に到着し新人合宿を終了した。上高地バスターミナルで成田コーチと別れ、部員は松本で風呂に入り、食事をした後各自バスで帰京した。

5.総括
新人が参加する初めての合宿で訓練をこなし2年ぶりに残雪の奥穂高岳に登頂することができた。また、今回は鈴木雄大コーチと成田コーチに技術指導をして頂き現役部員のみでは得られなかった知識をたくさん学ぶことができて上級生にとっても有意義な合宿となった。食事の献立を工夫したことでテントの中もいつもよりなんとなく明るい雰囲気であった。全体としては、時に厳しく、時に楽しい良い合宿になったと思う。大元を加えた新体制の1年の始まりとして良いスタートが切れたと思うので、次の夏山合宿に向けて引き続き頑張って行こう。