2018年度冬山合宿

1.対象:栂池スキー場、早大ヒュッテ~成城小屋~小蓮華山

2.期間:2018年12月22日~2018年12月29日

3.メンバー:中島(3年CL)、浅川(3年SL)、小野(2年装備)、江口(1年気象)、真道(1年医療)、田代(1年食料)、山賀OB、福田OB

4.概要

〇12月22日 部室17:30集合~22:00部室出発~24:20鍛冶橋駐車場バス出発

・今回はヒュッテ用の食糧を買い忘れず準備万端で部室を出発する。ヒュッテ用食糧で通常以上に膨らんだ40キロオーバーのガッシャーとスキーを抱えて鍛冶橋駐車場へ向かった。予約したバスは直接スキー場へ向かう便であったため、我々のガッシャーとスキーに一般の方の荷物が加わりバスのトランクは一杯になった。

コシヒカリ、運んでます。

〇12月23日、-5℃、曇りのち雪

7:20栂池スキー場到着~8:30福田OB、鈴木健OB合流~9:00~ゲレンデでスキー訓練~15:00~17:00ヒュッテ到着

・バス到着後、ゲレンデの出口付近のスペースで各自朝食や装備を整える。8時前にゴンドラリフトの窓口が開いたため、事前に入手した引き換え券を交換した。程なくして2名のOBと合流し、ゴンドラで最終駅まで移動した。ゴンドラの最終駅の出口右手、ロープの仕切りの外側に荷物を置き、各一年生に上級生が一名ずつ、スキー経験のない江口には福田OB、真道には鈴木健OBに付いていただきスキー訓練を開始した。最初はリフト一本分の区画を滑っていたが、ある程度慣れてきたらゴンドラの中間駅まで一気に滑る練習をした。一年生のスピードに大きく差が出来たため、上級生のスキー訓練のためにも早いパーティが後ろから追いついたらそのパーティの上級生が交代することとした。一年生の中では田代が群を抜いて上手かった。15:40にリフトが停止すると掲示されていたため15時頃ゴンドラの最終駅に集合し更に上部へ向かうリフトに乗ろうとするが、パッキングに手間取ったのとなぜか15:20頃にリフトが停止してしまったため、シールでヒュッテまで上がることになった。シールを装着直後、準備では何ともなかった江口のシールの一部が破損してしまった。更に一年生はシール歩行に慣れていないこともあり、ヒュッテ到着時には日が暮れかかっていた。

〇12月24日、-6℃、曇りのち晴れ

5:30起床~7:10出発~8:30(中島、鈴木健OBゴンドラ始発駅到着)~9:10~スキー訓練~14:00~15:00ヒュッテ到着~ビーコン捜索訓練~16:00

ヒュッテで迎える冬の朝は最高である。言葉にならないほど美しい。

・7時に出発し、8時にゴンドラの始発駅まで下り本日分のチケットを交換し山賀OBと計画だったが、一年生の出発準備が遅れたのと前日の降雪が予想以上であり林道の下降に時間がかかったため、中島と鈴木健OBが全員分の引換券を持ち先に下まで滑降した。山賀OBにはゴンドラで先に登ってきていただき最終駅で他のメンバーと合流した。中島と鈴木健OBもその後合流し、本日もスキー訓練を行った。一番難のあった江口には山賀OB、鈴木健OBついていただき、上級生は本日も交代方式で一年生についた。筆者は主に江口についていたが、山賀、鈴木健OBの懇切丁寧な御指導のおかげで前日までまともに滑れなかった江口がボーゲンでなんとか滑れるようになっていた。真道と田代も前日よりも上達していたようだった。13時頃福田、鈴木健OBとお別れし、14時頃スキー訓練を切り上げヒュッテに向かい、到着次第すぐに神の田圃でビーコン捜索訓練を実施した。山賀OBにはヒュッテまで付いて来ていただいた。訓練はビーコンを雪面に埋め、中島をリーダー、一年生を捜索者と想定して行った。設定した10分以内にビーコンを見つけることが出来た。その後筆者を含む2名が雪に埋まる体験をしたが、3.40㎝埋まっただけでかなりの重さを感じた。明日の予定について、28日から強い冬型が年末まできまるとの予報であり、ヒュッテに食糧が余分にあったので白馬アタックを一日前倒しにすることにし、翌日は天狗原まで荷揚げすると決めた。

〇12月25日、-6℃、晴れのち曇り

5:30起床~6:00朝食~8:00早大ヒュッテ出発~10:00成城小屋幕営~12:00再出発~14:00天狗原~16:00帰幕~20:00就寝

・振り返ると、この日がアタック日だったらと思える程貴重な晴れだった。ヒュッテの水抜き後出発。江口のシール歩行の練度が低くスタートから成城小屋まで2時間もかかってしまった。成城小屋から上は更に急であり、天狗原まであと何時間かかるか分からない程であったので、本日は成城小屋前のスペースにテントを張り、空荷で天狗原往復することにした。2時間程で天狗原につき、乗鞍の斜面を偵察した。やはり雪はあまり積もっておらず、斜面内の沢以外に生えている木は見えている程だった。偵察後スキーで下るが日の入りが近く、バックカントリー初めての真道と江口は雪に足を取られ、なかなか滑降できなかったため、わかんを履いて下らせることにした。帰幕後天気を確認するがやはり明日明後日が合宿期間内最後の好天であるようなので、もう天狗原までテントを上げる時間はないと判断し目標を白馬岳から小蓮華山に変更した。一年生に冬の稜線を歩く経験を出来るだけさせたかったため様子を見つつ一応11時までは行けるところまで行くことにした。江口が風邪を訴えるため、とりあえずパブロンを飲ませ就寝。

〇12月26日、-6℃、晴れのち曇り

3:00起床~4:40出発~6:30天狗原~9:00乗鞍岳~10:35船越ノ頭で撤退~12:30天狗原~14:30帰幕~20:00就寝

・起床後江口の容態を確認するが行動できそうにないようなので、浅川と江口をテントに残し他のメンバーで出発。出発が10分遅れる。しかし見込みよりも30分早く1時間半で天狗原に到着。天狗原に出たところに赤旗を立てる。天狗原に2.3本、そこより先には下降時に迷いそうな尾根の出口付近に立てていった。ここ数日目立った積雪もなく雪もよく締まっているようだったので夏道の左側の斜面を登行した。斜面を3分の1程登ったところで真道のシールの先端部分が破損したためここにスキー板をデポさせわかんで登らせた。ここでかなり時間を使ってしまった。稜線手前の岩場で全員スキー板をデポし、ここからはわかんで登ることにした。乗鞍岳に到着した時には予定よりも30分遅れていた。乗鞍岳より先は大池向かって左側を通過し、ここも雪がよく締まっているので正面の尾根を登る。4人交代でわかんラッセルし、稜線に再び出る。

左側の雪庇に注意を払いながら稜線上を進む。

風は思ったより弱く、体感で風速10mくらいだった。少し歩くと左側に雪庇が見えたので、ハイマツ沿いに歩く。船越ノ頭についた時には10:30を回っており小蓮華山は目前ではあったが、乗鞍からの下りで時間がかかる可能性があったためテントの浅川に連絡しここで引き返した。

〇12月27日、-6℃、曇りのち雪

4:30起床~6:10出発~7:30天狗原~9:40帰幕~11:05成城小屋撤収~12:00早大ヒュッテ、20:00ビバーク開始~翌4:00まで(江口は12:30まで)

・本日は江口も行動できそうだったため、シールで天狗原往復することにした。江口の歩行スピードは初日よりも上がっており、一時間半で天狗原に到着。下りのための時間は沢山あるので、一年生全員スキーでテントまで滑降した。その後テントを撤収し、林道を滑ってヒュッテまで移動。途中民間の方数名とすれ違った。ヒュッテに戻り全員で会議。本日はビバーク訓練をすることにした。江口は体調がまだ完全に回復していないため、形だけ体験ということで12時を過ぎたらヒュッテに戻らせることにした。今夜は積雪40㎝との予報であったため横穴を選択したがその場には積雪があまりなく、苦肉の策でヒュッテの階段下の吹き溜まりに横穴を二つ堀り、3人ずつ外に足を出す形で横になり、入口をツェルトで覆った。

雪が浅く、十分な雪洞を掘ることができなかった。

体半分は雪の中ということで寒さをあまり感じず、最初は余裕を持って寝られたが12時を回った辺りから気温がぐっと下がり(-11℃)、翌日の4時まで一睡もできない程寒かったが耐えた。一年生は割と余裕そうに見えた。

〇12月28日、-11℃、一日雪

7:00朝食~8:00出発~10:00栂池ヒュッテ~12:00早大ヒュッテ、15:00テント設営、21時テント就寝

・ビバークを撤収し、ヒュッテに逃げ込み少し休憩し朝食をとった。撤収時雪に埋もれた装備をいくつか置き忘れた。(後で回収した)本日以降は荒天が続く予報であるが、まだ江口の滑降と一年生の生活技術に難があるためヒュッテ付近や林道で訓練をすることにした。朝食後、林道を使ってスキー滑降訓練を行うつもりで全装で林道を遡るが、昨夜の豪雪によりトレースは完全に消え、膝ラッセルを強いられ登行にかなりの時間を使ってしまった。やっとの思いで栂池ヒュッテに到着するが、振り返ると既にトレースが消えかかっていた。これでは最早ラッセル訓練になってしまうところだったが、幸運にも我々のトレースをなぞって上がってくる民間の方が何組かいらっしゃった。それでも降雪量が多く、殆ど歩きたまに滑る形でヒュッテまで戻った。この降雪量では滑降訓練はできないため、ヒュッテの中で停滞。15時頃ヒュッテ付近に幕営し、ヒュッテ内で夕食をとった後21時にテントで就寝した。

〇12月29日、-11℃、一日雪

6:00起床~7:50撤退準備完了~8:30出発~10:30下山

・今日も設定した時間に間に合わなければ今日も泊まるつもりだったが、見事に間に合った。ヒュッテを閉め、下山を開始。今日に限って林道が圧雪されており、ゲレンデまで滑ることができた。なるべく民間の方の迷惑にならないよう、全装で滑降する自信のない者はゴンドラで下った。タクシーで白馬駅まで移動し、白馬ロイヤルホテルで汗を流した。