2016年度残雪期合宿

「南風の薫ずる、以って吾が民の慍りを解く」と史記にあるように合宿所のドアを開けると青嵐が頬を撫でるこの季節は心地の良いものです。

しかし、同じ南風でも先のゴールデンウイークのそれは日本列島に大荒れの天気をもたらしました。言うなれば、以って吾が民の慍りを増幅させるようなものだったでしょうか。

そんなゴールデンウイークではありましたが、早稲田大学山岳部も残雪期合宿を白馬岳主稜にて行いました。遅くはなりましたが、ご報告いたします。

山域対象:後立山連峰白馬岳主稜
期間:5月2日~5月3日
メンバー:4年 小川(CL)、田中(SL)3年 福田

5月2日【移動日】
18時部室集合~準備21時30分出発=22時竹橋駅、22時30分発=高速バス=5時白馬駅着

5月3日 晴れ 4度
白馬駅=5時30分猿倉荘、6時出発~6時45分白馬尻~8時50分ハ峰~10時20分四峰~11時30分二峰~12時50分白馬岳頂上~14時白馬尻~14時30分猿倉荘=白馬駅

今年は就活が前倒しになり、四年がゴールデンウイークに時間が取れなくなったため実働一泊二日、予備日1日の予定で残雪期合宿を行いました。

5月2日移動日です。乗車したバスの運転手さんが新宿近辺で道を間違えたことくらいしか出来事がありませんので省きます。

5月3日火曜日
5時に白馬駅に到着。寝ぼけ眼でバスから降りると、あまりの寒さに目がさめました。寒さに震えながら急いで防寒着をきているとタクシーが早めに来てくれました。まさに助け舟といった感じ。タクシーの運転手さんは非常にいい方でした!!ありがとうございました。

30分ほどで猿倉荘に到着。猿倉荘周辺は完全に雪が溶けていました。昨日買っておいたおにぎりを食べて準備を整え6時に出発。雪がないのでショートカットもできず、黙々と林道を歩くことに。プラ靴では土の上は歩きにくく、スピードもあがりません。白馬尻の手前でようやく雪の上を歩けるようになりました。猿倉荘から45分ほどで白馬尻に到着。ここからピッケルをだしました。

白馬尻から白馬岳主稜を臨む。

いよいよ白馬岳主稜に取り付きます。
これが意外と急登で、かつ全装を背負っているので堪えました。天気の方は晴れ。暑かったです。暑さと辛さに苦しみながら8時50分にようやくハ峰に到着。ここまでが非常に長く感じました。ハ峰からアイゼンを装着しました。
ハ峰を超えいよいよ白馬岳主稜にでます。ところどころ岩や木が出ていていやらしいところもありました。六峰手前で雪稜が途切れ、土が出ていて大ザックではいやらしいのでロープを1ピッチ出しました。

六峰手前のピッチを工作する田中と福田

その後もちょくちょく出てくる木登りに恨み節を唱えながらも進み、10時20分に四峰に到着。五峰の登りでもワンポイント雪壁を乗り越す際に補助的にロープを出しました。計画ではここで一泊する予定でしたが、時間もあるので進むことに。左手には杓子岳の双子尾根が裾野をはるか下に広げていました。

四峰より杓子岳を臨む。

その後もひたすら雪稜を歩き続けると白馬岳主稜のハイライト、頂上雪壁にぶち当たりました。(取り付きの岩場に残置ピトンあり。)ただ、思っていたより傾斜も緩く、ノーロープで取り付きました。登るにつれて傾斜が増してきてロープの必要性を感じた頃には時すでに遅し。そのまま登るしかありませんでした。頂上に乗っこす直前はかなり立っていて、緊張するとともに興奮していました。高度感と傾斜が最高でした。登りきるとそこが白馬岳の頂上。終了点が山頂というのは、やっぱり気持ちいい、爽快なルートです。

頂上雪壁を登るに田中と福田。写真じゃ伝わらないこの傾斜、、、

白馬岳山頂にて。

白馬岳山頂で写真撮影を済ませ休憩していると風が出てきました。これから翌朝にかけての荒天を告げるような風でした。まだ13時前だったのでそのまま下山開始。デブリに荒らされた大雪渓を一気に下りそのまま猿倉荘へ。登るのはあれほどかかったのに下りは一時間半。複雑な気持ちでした。

今回持参したテントや3日分の食料は全く使用しませんでした。なければもっと快適かつスピーディーに登れるはずです。一方で、日数の短さを補うトレーニングにはなったかと思います。ともあれ残雪期の白馬岳主稜をしっかり成功させたのは収穫もあったのではと思います。(頂上雪壁でロープを出すべきだったという反省は残りますが、、、)今年一年間この勢いで突き進んでいきたいと思います!!

白馬の街から白馬三山を仰ぎ見る。どうしても感傷的になりますね。この感じ、きらいじゃないです。

お詫び
今回はカメラを持参し、そちらをメインに使っていました。しかし、そのカメラにメモリーカードが入っていないという事実が山頂で判明しました。(メモリーカードは財布に入れて携帯していたのに…)いい写真が撮れていたつもりが、記録すらできなくなってしまいました。

福田