2017年度夏山合宿

1.対象:北アルプス剱岳真砂沢定着~上高地

2.期間:2017年8月4日~2017年8月17日

3.メンバー:4年CL福田、2年SL中島、浅川、小野、1年香取、萩原OB、鈴木雄大OB

4.行動詳細:

8月4日(金) 曇り 18:30部室集合~23:30東京駅八重洲鍛治屋橋BT=高速バス=06:00富山駅
 18:30に部室に集合し、装備、食糧等々の確認を行う。事前に立山駅前の五十島商店に食糧やガスを送っていたが、送り漏れもなくひと安心。パッキングをすまし、早稲田で夕食をとったあとは東京駅へ向かう。鍛治屋橋のバスターミナルに到着すると、金曜の夜ということもあってか混雑がひどく、辟易してしまう。バス待ちの間に雨がパラついたが、屋根の下は入る余地がなく少々濡れる。小雨であったことが不幸中の幸いであった。雨脚が強くなりかけたころバスが到着し、雨から逃げるように富山へ向かった。

8月5日(土) 曇りのち雨 23℃ 07:19電鉄富山駅発=08:40ケーブルカー=10:00室堂BT~12:40別山乗越~13:10剱沢派出所~15:30真砂沢ロッジTS
 富山駅に到着すると、薄曇りで早朝にも関わらず蒸し暑かった。約1時間電車に揺られ立山駅につくと、人の多さに驚かされる。ここからアルペンルートで室堂に向かうが、あまりの快適さに昨年度の春山で3日もかかったのが噓のようだ。途中残雪も見られ、雪の大谷付近には山側に4mほどの壁が残っていた。10:30に室堂を出発し、真砂沢を目指す。2700m以上はガスに覆われており天気が心配だ。雷鳥坂は登りだしで50mほど残雪を踏んだが、あとは夏道。室堂からおよそ2時間で別山乗越に到着した。香取は終盤遅れたが例年以上のペースにもよくついてきた。別山乗越~剱沢はルート上には残雪はほとんどないが、別山乗越~剣山荘方面は残雪が豊富でアイゼン必携とされていた。13時過ぎに剱沢に到着。県警に挨拶をし、ルート状況について伺う。今年は残雪が豊富で、平蔵谷や長次郎谷はシュルンドもあいていないようだ。またチンネについては、三の窓雪渓がズタズタなので長次郎谷右俣からの方が安全というアドバイスを頂いた。雲雪も怪しくなってきたので剱沢をあとに、真砂沢へ向かう。クロユリの滝がとけて現れていたので、しばらく夏道を行く。クロユリの滝を過ぎ、剱沢が真砂沢方面へと角度を変えるあたりで雪渓を歩けるようになった。安定した雪渓上を順調に下り平蔵谷出合で上部を偵察し、十分通行できることを確認した。長次郎谷出合から真砂沢ロッジまでの間にある大滝も雪で繋がっていたが、左岸の夏道から巻いた。その後再び雪渓を歩き、15:30前に真砂沢ロッジに到着した。他大の山岳部が3校ほど幕営していたため、端の空いたスペースにテント張る。設営し終えたころ、雨が降り出し、夜まで降ったりやんだりを繰り返していた。18時に夕食をとり、19時には就寝した。

8月6日(日)曇りのち雨 15℃ 03:00起床~04:00出発~05:00源次郎尾根登攀開始~08:30Ⅰ峰~09:00Ⅱ峰~10:25本峰~11:45平蔵のコル~12:40真砂沢ロッジTS
 03:00に起床すると、雨は上がっていた。計画書ではⅥ峰フェースの予定であったが、この日は翌日より天気が良いという情報を得ていたので、途中敗退が難しい源次郎尾根を先に済ませることにする。真砂沢から1ピッチで源次郎尾根の取り付きにつき、中島、浅川を先行させ最初の岩場をFIXで通過。雨でぬれており、上りにくい。その後も二年生2名を先行させ、二年生1名、福田で香取を挟むようにして進んでいく。2年生の判断で例年ロープを出している2番目の岩場の手前で2p分工作した。核心の岩場は中島がリードし、1人ずつムンターで確保しながら通過した。中島、小野以外は雨で滑ることを考えても安定感に欠けていた。このくらいは問題なく通過できるようにしたい。ここからは危険個所もなく踏み跡を辿り、一昨年崩壊した箇所の悪いトラバースを浅川リードで10mFIXした。その後はロープを出すこともなく順調に高度を稼いでいったが、途中、先行させていた中島、浅川がルートを誤り右往左往していた。危険な場所に導かれる可能性もあるので、踏み跡に惑わされずルートを見極める力をつけてほしい。合流してからは5人で行動し08:30にⅠ峰、09:00前にⅡ峰に到着した。このあたりまで来ると岩も乾いて登りやすい。2500m以上は基本的にガスに覆われていたが、時折本峰やⅥ峰フェースが顔をのぞかせるタイミングもあった。Ⅱ峰から30mの懸垂下降となるが、懸垂点のすぐ下に幅1m以上の大きな浮石が2つあったため触れないように注意し、懸垂を終えたものは壁から離れて本峰側で待機するなどして対処した。結局5人が懸垂し、回収するまで45分もかかってしまった。ここまでのロープワークに共通していえることだが、「確実かつスピーディーに」という意識を全員が共有することが大切である。コルから本峰へは浮石の折り重なったガレ場を慎重に上り、10:25に剱本峰に登頂した。山頂は見事にガスの中であるにもかかわらず30人以上の人がいた。山頂に20分ほど滞在し、下山開始。すると、カニのヨコバイを先頭に40人ほどの渋滞が起きており、全く進まない。そうこうしているうちに雷鳴が迫ってきた。雨がパラつき出したころ、ようやく平蔵のコルに降り立つことができひと安心。山頂に大勢いる場合はそそくさと下山したほうが吉であろう。平蔵のコルからは昨日の偵察通り出合まで雪がべったりついていた。アイゼンを装着し、平蔵谷を下る。4年前はシュルンドがコル直下に開いていたが、今年はまだあいていない。本峰南壁の取り付きを確認するなどしながら3分の1ほど下り、ここから走って下らせる。走るというより歩きに近かったが、40分ほどで出合に到着。雨も強まりだしたのでそのまま真砂沢ロッジTSまで駆け下った。雪渓が崩壊し真砂沢手前の大滝が口をあけていた。雨は昨日同様降ったり止んだり状態。17時に夕食後、19時には就寝。

8月7日(月) 晴れのち雨 13℃ 03:00起床~04:00出発~06:00Aフェース取り付き~09:15Aフェースの頭~09:30Aフェース岩小屋~11:00Cフェース登攀開始~13:40Cフェースの頭~15:00Ⅴ・Ⅵのコル~16:15真砂沢ロッジTS
 15:00頃から台風の影響が出はじめるという予報があったが、04:00に真砂沢を出発する。長次郎谷も雪が多く、右岸側であればシュルンドもよけて通行できる。迂回する必要がないので楽に長次郎谷を詰められ、2時間ほどでAフェースの取り付きに到着。初めに浅川、小野パーティー(以下、A隊)が魚津高ルートに取り付く。1p目のクラックが少々濡れているなかで確実にロープを伸ばしていった。30分ほど間をあけ香取、中島、福田パーティー(以下、B隊)も登攀開始。中島がリード。二年生はそれぞれ支点が不確実なところにはカムを加えるなど工夫していたし、上りも安定していた。香取も上るスピードが速い。抜群のロケーションのなかでのクライミングを楽しんでいた。ただし、Aフェースの支点は去年と比べて風化しており、怖さも感じた。09:15にAフェースの頭に到着。Aフェースの頭から同ルート懸垂もできるが、踏み跡を辿った懸垂点からなら1pで降りられる。Aフェースの岩小屋に戻り一呼吸入れ、Cフェースに向かうが、雪渓のいたるところに割れ目があり、通過に手間取る。通過できそうな箇所を見つけるのに30分は費やした。11:00に登攀開始。Aフェースと対照的に岩は安定しており、快適そのもの。登攀のスピード自体は決して早くないが、約2時間半で頭に抜けた。3p目あたりで後立方面から雲が流れてきて、ガスの中の登攀となり、頭では雨に加え風も出てきた。すぐに下降を始めるが、視界が悪く、いつもの下降点が見当たらない。仕方がないので、Bフェースの頭から50mロープ折り返しで1p懸垂後歩いて懸垂点に辿り着く。ここから50m2本で2p懸垂してⅤ,Ⅵのコルに降り立った。強風にロープが流され時間がかかった。この時点で15:00。Aフェースの岩小屋にデポした装備を回収し、雨のなか下り、16:15に帰幕。

8月8日(火) 雨 14℃ 台風のため終日停滞
02:00頃台風の影響なのかテントを風にゆすられる音で起こされる。やはり風雨が強まっている。この日は終日停滞。一日中雨が止むことはなく、低地に張っていたためテントも水浸しになった。

8月9日(水) 雨のち曇り 13℃ 06:00起床~07:00出発~08:30剱沢野営管理場~10:00別山岩場~14:00剱沢野営管理場にて萩原OB、雄大OB合流~15:00真砂沢ロッジTS
 03:00に起床するも、相変わらず雨とガスのため様子を見る。06:00に再び起きると雨が上がっており回復傾向がみられる。貴重な晴れ間になりそうなので、別山岩場で支点構築とセルフレスキューの訓練を行うことにする。07:00に真砂沢を出て1時間半で剱沢野営管理場に到着するも、天気が回復しない。1時間ほど様子をみている間に晴れ間も出てきたので10:00から別山岩場で訓練を開始する。一通りナチュラルプロテクションの設置方法を説明した後、各自ハーケン、カム、ナッツで支点を構築する。1時間ほど練習し、慣れてきたようなのでセルフレスキューの練習に移る。懸垂の上り返しと、カウンターラペルを練習した。皆よく覚えたようだ。今後も復習をしていこう。14:00に剱沢に下り、萩原OB、雄大OBと合流。7人で真砂沢に下る。剱沢雪渓は入山時と状況は変わらない様子だった。また、結局一日中雨が降っていた。天気予報では今後も雨が続くようだ。

8月10日(木) 晴れのち雨 14℃06:00起床~07:30出発~09:00剱沢野営管理場~10:00別山乗越~11:00雷鳥平キャンプ場
福田、香取 12:15雷鳥平キャンプ場出発~12:35室堂BT着(12:40発のバスで香取下山)~13:00雷鳥平キャンプ場
 01:00に起床し、天気を確認するも雨。チンネ登攀は諦め、下山を決める。06:00に再び起床し、07:30に撤収。午後から雨の予報だが、後立山連峰が見えるほど視界は良い。真砂沢から1時間半で剱沢野営管理場に到着。ペースも良い。その後も黙々と雷鳥平キャンプ場にむけて歩き、11:00頃到着した。天気も持ちこたえているので濡れた装備を乾かすなどしていると香取に電話が入る。御家族が急病とのことなので下山。急いで支度し、室堂まで付き添いおろす。幸いバス待ちすることもなく12:40発のバスで下山した。その後雷鳥平に戻り、翌日送る装備を整理した後は自由。17:00頃から雨になった。

8月11日(金) 晴れのち雨 18℃ 休養日 文責中島
中島、小野 07:45出発~08:30装備郵送~10:30立山駅~パッキング~13:30立山駅発~16:00雷鳥平キャンプ場
 小野、中島で東京に送り返す装備を持ちキャンプ場を出発する。室堂に着き、ホテル立山の売店で段ボールをいただき、装備の郵送をする。その後アルペンルートで立山駅へ。五十嶋商店で食料を受け取り、場所をお借りしてパッキングを終える。来た道を戻り、雨が降る前にキャンプ場に着く。17時頃からどしゃ降りの雨となった。そのほかのメンバーは温泉に入るなど一日自由に過ごす。

8月12日(土) 雨のち曇り 16℃ 02:30起床~04:00出発~06:00真砂岳~07:00大汝山~07:50雄山神社~08:15下降開始~09:10龍王岳~11:00獅子岳~11:45ザラ峠~13:00五色ヶ原TS
 テントから出ると、稜線はガスの中であった。なんとか雨が降る前に五色ヶ原まで着きたいので急いで撤収する。二年生は20㎏前後の団装を振り分けられザックがパンパンになっている。雷鳥平を後に、大走り経由で真砂岳を目指す。2時間で真砂岳に到着したと同時に雨が降り出した。内蔵助カールを臨むコルに着くとやはり風も強い。稜線のすぐ下に残雪がたっぷりついており、冬期はかなりの吹き溜まりになったことが伺えた。雄山まで危険個所もなく雨の中無言で歩く。雄山神社の社務所で休憩中に一瞬晴れ間も見えたが、20分も持たず再び雨となった。龍王岳への上りで雨もピークとなり気温も低く感じる。寒さのため雨が落ち着くまで休憩せずに歩くことにした。鬼岳東面のトラバース道は雪渓に覆われており、6日には滑落事故が起きたようだ。しかし、傾斜も緩くアイゼンも必要ない斜面であった。鬼岳を過ぎ11時に獅子岳に到着すると雨も落ち着いてきた。五色ヶ原も目前なので休憩した後ザラ峠へ。途中中島が足を捻るが、ザラ峠でテーピングをして五色ヶ原まで歩きとおした。幸い明日も歩けそうだ。13:00に到着したが、キャンプ場は多くのテントが張られており、最終的に50張り以上のテントがキャンプ場を埋め尽くした。17:00から再び雨となったので、早めに夕食をとった後明日に備えて就寝。

8月13日(日) 晴れのち曇り 12℃ 02:30起床~04:00出発~06:30越中沢岳~08:00スゴの頭~09:15スゴ乗越小屋~12:30 2832m~13:30薬師岳~14:50薬師峠TS
 縦走の二日目にして今日が正念場となる。薬師峠までの長丁場で荷物も重いためだ。幸い天気は良さそうだ。鳶山で御来光を今合宿初めて見ることができようやく夏山らしくなってきたと調子が出てくる。待望の青空の下でペースも上がり、06:30に越中沢岳を通過する。ここからアップダウンの連続となるが、晴れ過ぎたのか気温もグングン上がり低温に慣れた体に堪えるようになった。休憩を挟みながら09:15にスゴ乗越小屋へ。チップ制の水場があり、ありがたく頂戴する。以前ルクラで出会った農大OGの方が働いており、挨拶する。モンスーンの時期は日本に戻ってきているそうだ。偶然の出会いに世間の狭さを感じた。09:30にスゴ乗越小屋を出発し、薬師岳への長い上りが始まる。間山への上りで中島がバテ出したので中島のザックから野菜とテントを抜き、小野、福田が持った。2832mのピークへの上りでガスに覆われ、北薬師岳付近で小雨がぱらつき始めた。北薬師から薬師岳まではやせた尾根を行くので気を引き締める。金作谷カールには雪が残っていた。北薬師岳から30分ほどで薬師岳に到着。視界はガスのため50mほど。期待していた展望はないので長居はせずに薬師峠へ向かう。1時間で薬師峠に到着すると、キャンプ場はパンク状態。300張りほどはあっただろうか。道にまでテントが張られている状況だった。聞けば、「10時にはすでに満杯」とのことだった。仕方なく、隅の方の斜面にテントを張り、炊事は外で行うことにした。受付をしようと財布を探すも見当たらない。すぐにスゴ乗越小屋の水場だと気づき、とりあえず電話すると、届けられているとのことでひと安心。翌日取りに伺うことにする。斜めのテント内で何度もずり落ちながら無理やり就寝。

8月14日(日) 晴れ 16℃
福田 05:15出発~06:00薬師岳~07:30スゴ乗越小屋~09:30薬師岳~~10:10薬師峠TS
福田到着後 11:30出発~13:00薬師沢小屋~16:00雲ノ平小屋~16:30雲ノ平キャンプ場
 05:00起床06:00出発の予定だったが、腹も空いていないので出発することにする。必要最低限の装備だけザックに詰め、スゴ乗越小屋を目指す。高曇りで視界も良く、気温も16℃と過ごしやすい。途中2832mピークで休憩をし、07:30にスゴ乗越小屋で財布を受け取る。お礼をし、すぐに薬師峠へ戻る。薬師岳への上り返しはさすがに疲れたが、10時過ぎに薬師峠に辿り着いた。皆で話し合い余裕がありそうなので雲ノ平を目指すことにする。11時まで休憩し、撤収。11時半に薬師峠を出発した。太郎平小屋周辺は木道が整備されており歩きやすい。太郎平小屋からは薬師沢への下りとなる。ここも整備が行き届いており、渡渉点と書かれた箇所も橋が架かっているし、ところどころ木道も設置されている。13:00に薬師沢小屋に到着。渓谷につり橋があり、そのわきに小屋がある光景はネパールのようだ。ここからは急登なのでゆっくり休む。つり橋を渡り、すぐ梯子が出てくるが危険個所はここだけ。あとはひたすら樹林帯の急登となる道を1時間半で登り切り、木道に出る。雲ノ平に点在するアラスカ庭園や奥日本庭園と呼ばれる景色に励まされ、16:30にキャンプ場に到着。ここもやはり混んでいたが、幸い平坦地に2張りテントを張ることができた。一日雨にふられることがなかったのはこの日だけであった。18時頃夕食を摂り、その後就寝。

8月15日(月) 曇り時々雨 13℃ 03:00起床~04:30出発~07:20水晶岳~09:15鷲羽岳10:10三俣山荘~12:00黒部五郎小屋TS~14:30黒部五郎岳~15:30黒部五郎小屋TS
 朝起きるとテントが濡れていた。夜中に雨が降ったようだ。また、朝食を食べている間に雨が降ってきた。今日も天気に歓迎されていないようだ。撤収し04:30に出発。キャンプ場の裏手から祖父岳への登山道を歩いたが、ここは通行禁止であるらしい。一旦キャンプ場分岐まで戻りそこから登山道を行かなければならない。昨日の行程が短かったこともあり、二年生の調子がよくペースも上がる。07:00に水晶小屋を通過し水晶岳へ。雨で滑りやすく、また道が狭いためガッシャーだとすれ違いしにくいとの指摘を両OBに頂いたので途中にザックをデポして山頂へ。20分ほどで到着し、写真を撮った。例によって展望はなし。続いて09:15に鷲羽岳を経て三俣山荘に。ここから黒部五郎方面への巻き道を進む。途中雪渓が2か所あったが、いずれも短く通行には全く問題ない。三俣山荘から二時間弱で12:00に黒部五郎小屋TSに着いた。時間もあるので場所取りも兼ねてテントを張ってから、黒部五郎岳を目指す。黒部五郎岳へはカール内のルートから向かった。「カール内に巨岩が転がる光景は絶景」と地図に紹介されていたが、ガスであまり見えなかった。14:30に山頂へ。ガスも切れかけたが、やはりすぐにガスに覆われた。肩を落として下山する途中から雨に降られながら15:30に帰幕した。ここまですべてのキャンプ場に共通して言えるのは、あまり平らなキャンプ場がなく、ダンロップのV6がギリギリであるということだ。6~7人用などの大型テントでは張るスペースがなく困っていただろう。

8月16日(火) 曇りのち雨 14℃ 02:30起床~04:00出発~05:45三俣蓮華岳~07:00双六岳~11:00千丈乗越~12:30槍ヶ岳~16:00槍沢ロッジ~18:00徳澤園TS
 今朝も雨が降っている。雨から逃れるように東京を出発したにも関わらず、ひたすら雨に見舞われてきた。ずぶ濡れになったテントを撤収し、双六岳を目指す。04:00に出発し、黙々と歩くがなかなか明るくならない。定着のときは04:30には明るくなっていたが、日が短くなっていることを実感する。2p歩いて三俣蓮華岳に到着。その後雨は止んだが、視界は晴れず。双六岳からの槍ヶ岳も当然ながら見られず。取りあえず双六小屋で休憩することにして山頂を後にした。双六小屋で休憩するもかなり時間があるので、槍から徳澤園を目指すことにする。左俣乗越を過ぎたあたりから鎖場が出てくるがきちんと歩けば問題ない。千丈乗越からは今縦走最後の上りとなるので発破をかけて追い込み、12:00に肩に到着した。槍の穂先へは空荷で向かう。例によってガスに覆われた山頂には、登山者が10名ほどいた。浅川にとっては初の槍ヶ岳であった。最後のピークで写真を撮り、下山を開始した。人数は少ないが下降が遅く、渋滞となった。次第に雨も強まり岩場が滑りやすくなったが、慎重に下り肩に降り立った。休憩し、気合を入れなおして槍沢を下る。雪渓が残っていると想定していたが、雪を踏むことなく夏道をひたすら下る。大曲で休憩し、15:30にババ平を通過。下山パワー全開で横尾も通り過ぎ、18:00に徳澤園に到着。テントを建て終えたころには薄暗くなっていた。徳澤園に挨拶すると、遅い時間にも関わらず夕飯を頂けることになった。迷惑にならないよう徳澤ロッジの外来入浴(19:30受付終了)で汗を流してから徳澤園にお邪魔し、ごちそうになった。12日間ぶりの健康的なご飯が、疲れたからだに染み渡った。ありがとうございました。夕食後テントに戻り就寝。雨の降らない穏やかな夜だった。

8月17日(水) 晴れ 17℃ 07:00起床~07:30出発~09:00上高地BT~帰京
 朝起きると青空が広がっていた。気温も暑すぎず、歩くには最高の天気だ。昨日御馳走をたらふく頂いたので、もはやこれまでの朝食を食べる気にもならず、すぐに撤収した。出発前にお世話になったお礼をし、ゴールの上高地へと歩いていく。歩きなれた遊歩道を多くのひととすれ違いながら歩いていく。次第にすれ違う日人も増え、上高地が近づいてくる。最後の最後に天気に恵まれ、快晴の上高地に到着。久々の好天のためなのか達成感からなのか異様に清々しく感じた。ザックを置き、上高地アルペンホテルで入浴。汗をながしてさっぱりし、バスに乗り込み松本へ。松本の「EVEREST」というカレー屋でおかわり自由のナンを朝食の分も胃に押し込み、各自帰京。

⑥総括
 定着については、天候に恵まれなかったなかで、最低限Ⅵ峰フェースと源次郎尾根を現役だけでできたことは収穫といえる。特に源次郎尾根ではロープ工作についての判断を二年生に任せたが、状況をみて安全サイドに工作してくれた。さらに、新人で課題となった一年生へのケアも改善がみられ、おかげでチームワークが固まってきた。Ⅵ峰フェースでも、小川山等での経験を活かし成長した姿を見ることができた。香取も登攀スピードはここ数年の一年生のなかでも最も優れており、今後が楽しみだ。これからクライミングのベストシーズンとなるのでより磨いていってほしい。一方、全員に当てはまることだが、雪渓の下降やガレ場の通過はもう少し早く動けるようにすべきである。スピード=安全性に直結するため、登攀以外の部分でもさらなるスピードアップを図りたい。
縦走については、さらに二年生の成長を感じることができた。「一年間を通して必要な体力、歩行スピードの向上」を目的に掲げ、荷物も重くしたが、よく歩き通した。3日目以降は歩行スピードも上がり、縦走を通して日々強くなっていったように思える。雨天続きにも関わらず日程を短縮して完遂したことは自信になったのではないか。二年生に最も足りないのは自信であると思う。これを弾みとし、今後さらなる飛躍を遂げる事を期待する。香取は、体力、生活技術を磨く格好の場である夏山縦走に参加できず残念であったが、これは個人山行等で補填していこう。トレーニングにもこれまで以上に励んでほしい。
 全体を通して全員が「一皮向けた」と思う。これからは冬山シーズンに向け、見えた課題を修正し、成果はさらに伸ばしていこう。夏の頑張りが積雪期の成果に、さらには来年度に直結する。1人1人が先を見据えて日々を過ごしていこう。