2022年度 北岳バットレス登攀山行

1.対象:北岳バットレス第四尾根主稜
2.日程:2022年9月25日(日)~9月27日(火)
3.参加者:4年田中、2年岩波(CL)、1年上村
4.概要

9月25日(日) 気温:12℃  天気:晴れ

9:00 甲府駅~11:00 広河原登山口~11:20 登山開始~13:10白根御池小屋~19:00就寝
偵察隊:13:50白根御池小屋~15:50下部岩壁取り付き~17:20 白根御池小屋

朝に甲府駅に集合し、バスで広河原へ。台風接近で天候が心配されたが天候は問題なさそうだ。広河原から白根御池小屋までは途中の第二ベンチでの休憩を入れて1時間50分。久しぶりにほかの登山者を追い抜きながら登った。白根御池小屋到着後、明日に備えて下部岩壁の取り付きまで偵察に行く。行きは登山道からバットレス方面に入るのが早すぎて最後に第五尾根支稜取り付きまでかなりガレた沢をトラバースする羽目になった。帰りは取り付きの近くから延びる踏み跡をたどり下山。登山道からの分岐にはタオルの巻いてあるケルンがあったので位置を記録する。予定よりは遅れが、17時過ぎには帰幕した。明日のルートの確認をしたあと19時頃に就寝。

↑登山道から取り付きへの分岐。タオル巻かれたケルンあり

9月26日(月) 気温:9℃ 天気:晴れ

2:00 起床~2:50 白根御池小屋~5:00 下部岩壁取り付き~5:20 第五尾根支稜登攀開始~10:30 第四尾根登攀開始~16:40 登攀終了~17:15 北岳山頂~17:50 北岳肩の小屋~19:00白根御池小屋~21:00就寝

2時50分に出発した。日の出前であったのでヘッテン行動だった。しかし、今度は昨日位置を記録した登山道との分岐のケルンを通りすぎて登ってしまった。昨日さらに上部にも下部岩壁に続く踏み跡があることを確認していたので、その踏み跡をたどり下部岩壁方面へ。周りが明るくなり始めるころ第五尾根支稜取り付きに到着。

登攀は全て岩波がリードをした。ロープは50mのダブルロープを使用した。

第五尾根支稜

1ピッチ目 Ⅲ
寝ているバンドを左上。突き当りを右に折れると終了点あり。ここさえ注意すればあとはロープがいらないレベルの難易度。

2ピッチ目 Ⅲ
50mほぼいっぱいに伸ばすと明確な終了点あり。

横断バンド

3ピッチ目 Ⅲ
ビレイ点から一段上のバンド開始点が見えたのでそこを目指してトラバースしたが、到着後そこはピラミッドフェースの開始点であることが判明。仕方なくビレイ点に戻るが、その間に1組に抜かれてしまった。

4ピッチ目 Ⅰ~Ⅱ
本来の横断バンド。ロープを出すかどうかは微妙。前パーティーがいたため今回はロープを出す。50mいっぱいに伸ばすと横断バンドの中間地点まで行ける。

5ピッチ目 Ⅰ~Ⅱ
Cガリーを上がる直前で終了。終了点はないのでハイマツで支点を取る。

ヒドンスラブ
横断バンドの終了点からガレているCガリーを少し直上するとヒドンスラブが見える。

6ピッチ目 Ⅲ~Ⅳ
ヒドンスラブ。逆層で難しそうに見えるが、ルート取りを間違えなければ難しくない。ただし中間支点はあまりとれない。スラブ登りきり、階段状の岩場を登ると第四尾根取り付きがある。

第四尾根主稜

7ピッチ目 Ⅳ+ 40m
個人的には断トツの核心。ビレイ点のすぐ上にハーケンがあるのであらかじめ中間支点を取る。左側のクラックにフットジャムをきめられれば勝ちなのだが、そこまでが難しかった。大苦戦するが何とか突破。

8ピッチ目 Ⅱ 40m
ルート取りがやや難しい。終了点付近に紛らわしい捨て縄とハーケンがあるが関係なし。白い岩のクラックが目の前にある場所に終了点がある。

9ピッチ目 Ⅲ 40m
白い岩のクラックに沿って登る。ルート明確。

10ピッチ目 Ⅲ 30m
三角形の垂壁の直前に明確な終了点あり。あとでわかったのだが垂壁を登った直後にも終了点あり。

11ピッチ目 Ⅳ+ 30m
3mほどの垂壁からリッジ。垂壁はハーケンの打ってある左ではなく右を登る。登山研でスラブを登った経験が生き難なく突破できた。懸垂点が見えたら終了。2つあるが奥の懸垂点の方が良い。

12ピッチ目 懸垂下降 20m
マッチ箱のコルに向けて20mほど懸垂下降。次のピッチの開始点は明確なので問題なし。懸垂点からはこの後登攀するルートが一望できる。

↑枯れ木テラス方面からマッチ箱の懸垂点。中央奥が岩波。

13ピッチ目 Ⅳ 30m
右のコーナーからカンテ上のクラック。ホールド豊富。

14ピッチ目 Ⅲ 30m
左右の2ルートがあるが、左側の溝の中を登る方が楽。

15ピッチ目 Ⅱ 30m
2010年の崩落個所をトラバース。1ピッチで城塞ハングの下まで行ける。

16ピッチ目 Ⅳ+ 40m
いわゆる城塞ハング。ハング気味のチェムニー。ハングを乗り越えるときにリードだとやや怖い。ホールドはないので登り方に工夫が必要。支点は豊富にある。開けた場所についたら早めにピッチを切る。上がりすぎると支点なし。登攀はここまで。

登攀終了後少し休憩をしたのち北岳山頂へ。かなり時間はかかってしまったが、17時過ぎに夕焼けの山頂に到着。レーションを食べ記念撮影をして下山開始。肩の小屋を過ぎてしばらくしてヘッテンをつける。草すべり直前で完全に日は落ち、暗闇の中で白根御池小屋に向けて下山。19時ごろに帰幕。

↑ 17時過ぎ遂に北岳山頂到着。
↑ 夕焼けに染まる北岳

9月27日(火)  気温:15℃ 天気:晴れ

6:30 起床~8:00 白根御池小屋~9:15広河原登山口~12:00 甲府駅

始発のバスが10時広河原発だったので、それに合わせて起床。1時間強で広河原に到着した。バスで甲府駅に戻り、駅前のモスバーガーで飯を食べ、13時前の中央本線で帰京した。

5.総括

今回は登攀にかなりの時間がかかってしまった。主な原因は①横断バンドを間違えてしまったこと、②ピッチを切るかどうかの判断が遅かったことだと思う。①に関してはビレイ点からは位置的に横断バンドが見えなかったので、出発前に次の終了点を確認して出発したが、それが間違っている可能性を疑うべきだった。②に関しては、劔岳と違いハイマツやカムやハーケンが決まりそうな溝も少なかったので、伸ばしすぎて支点構築に手間取る場面が多々あった。ある程度ピッチを伸ばし支点の取れそうな場所を見つけたら、ピッチを切るべきだった。また、今回はルート自体は明瞭だったのでそちらは問題なかった。ただ、何はともあれ天候にも恵まれ、長いルートを登りきれたことは喜びたい。今回で反省すべきところは、反省し次に生かしたい。                   
                                              (文責:岩波)