2025年度 谷川岳東尾根個人山行

1.日程
2025 年 10 月 23 日

2.対象
谷川岳東尾根(シンセン沢左俣経由)

3.メンバー
2 年柴山、金子、三田村

4.概要
10 月 23 日 天気:晴れ 約4℃(谷川岳登山センター)

4:45 谷川岳登山センター出発
6:00 巌剛新道第一見晴
6:40 シンセン沢出合
7:05 シンセン沢二俣
8:20-11:00 核心3ピッチ
12:00 東尾根合流
13:00 観倉台
13:15 第一岩峰
14:50 オキノ耳
16:40 天神平到着

22 日夜に土合に前入りする。4:15 に起床し、4:45 に登山指導センターを発つ。巌剛新道を 順調に登り、6:00 に第一見晴に到着する。東尾根の威圧的な山容を目の当たりにし、気が引き締まる。急な悪い道を5 分ほど下り、マチガ沢に入る。すぐに大滝が現れ、左岸をフリ ーで登る。一箇所難しいところがあったが、ステミングで攻略した。15分ほど歩いて、明るく開けたマチガ沢から、狭いシンセン沢に入って行く。シンセン沢には水は流れておらず、 ぐいぐいと快適に標高をあげることができた。水が流れていたら不快な登りになるだろう。出合から20分ほど登ると、広く開けた草付のフェース状になり、登るほど傾斜が強くなった。二俣に到着すると、これから向かう左俣の岩壁がよく見える。

二俣から左俣を望む

ここからも草付の歩きにくい道が続いた。左俣の左岸を歩いていたが、沢から離れすぎてしまったため、強引にトラバースして左俣に復帰する。岩が濡れていて、かなり緊張した。その後やや右岸を歩くと、安定したテラスに、リングボルトが二つあった。ここからロープを出した。

1ピッチ目。金子がリードする。手も足も適当なホールドがなく、難しく感じる。終了点はリングボルト2個。

2ピッチ目。核心の2ピッチ目は三田村がリードする。カムと残置ハーケン で支点をとった。残置ハーケンの数は豊富だったが、強度的に不安なのでクリップはするがメインの支点はカムで自分で構築していく意識で登った。このピッチでギリギリ上まで抜けられそうではあったが、上に支点が取れないことを懸念して、途中でピッチを切った。

3ピッチ目。10m程度の最終ピッチは柴山がリードする。 クラックの快適な登攀だった。

最終ピッチの上部は平坦で、ここでロープを畳み15分休憩をとった。3ピッチしかやっていないのに2時間40分を費やしてしまった。ロープの手際は悪くなかったが、1,2 ピッチが難しく、登攀に時間がかかった。ルートファインディングと登攀能力の低さを実感した。ここから東尾根に乗るまでも悪く、慎重に進んだ。東尾根に乗ってすぐに名もなき岩峰が現れ、三点保持を心掛けて直登した。その後は観倉台まで薮の道を歩く。踏み跡はかろうじて分かる程度、人はほとんど入っていない印象。13 時に観倉台到着。一の倉沢と谷川岳の大岩壁が一望できる。やっとオキノ耳を目で捉えることができ た。

観倉台付近から第一岩峰とオキノ耳を望む

ここから数分切れた尾根を進むと、目の前の第一岩峰の取付にツェルト、ザック、ザイル、服が生々しく散乱しているのが見え、肝を冷やした。取付まで進み、人がいないことを確認する。これは異様だということで、警察に通報する。状況説明などで時間がかかったが、 結局昨冬の遭難者が残していったものと判明する。第一岩峰は垂直に近い箇所があるため、 ロープを出す。中間支点はカム、終了点は灌木でとった。オキノ耳への最後の登りも意外に悪く、ペースが上がらない。山頂に直接出たかったが、道が分からず仕方なく僅かに一ノ倉岳側の国境稜線に合流し、15 時前に登頂した。

オキノ耳山頂

登頂が遅く、終電に間に合わない可能性があったので、ロープウェイで下山した。

5.総括

初めて2年だけで計画、実施したアルパイン山行だった。初めてということもあり、ルートについてはよく予習し、致命的なルートミスは起こさなかったが、単に脆く悪い道で慎重に歩いた故、予定よりも遅い行動となってしまった。準備段階ではロープを出す核心に意識が向いていたが、実際歩いてみるとシンセン沢に入ってから山頂までずっと悪く緊張を強いられた。行動日、予備日ともに良い天気であることがわかっていたため、まだ歩きやすく、無理に焦らず行動できたが、天気が悪かったとしたらかなり厳しい状況になっていたことは明らかである。基本的な歩行技術、ルーファイ力、危機管理能力を上げなければならないと反省した。一方で、装備の点に関しては、軽量化を図った。登攀具、衣類ともに過不足なく、良かったと思う。今回、自主的な山行を通して、アルパインの怖さを身をもって知り、良い経験になったと思う。さらに経験を積んで、来年後輩を連れていけるほどに成長したい。

(注意)

東尾根は危険区域に指定されている。危険区域に入る場合は、入山 10 日前に登山届を谷川 岳登山センターに提出する必要がある(コンパス可)。

文責:柴山