2025 年度新人合宿

 

1.日程
2024 年 6 月 25 日(火)~7 月 1 日(火)

2.対象
北アルプス 涸沢カール・奥穂高岳

3.メンバー
4 年 吉澤(C.L.) 3 年 大元(S.L)、2 年日高(装備) 、金子(食料) 、御山(医療)、三田村(気
象)柴山(議事録)1 年石川、本橋、高橋 コーチ 鈴木雄大コーチ(6/25~27)、上村コーチ(6/27~29)


4.概要
6 月 24 日(月) 天気:曇り
16:00 部室集合~先発 19:00 部室出発~19:55 バスタ新宿~11:15 松本バスターミナル~0:15 就寝
後発 20:15 部室出発~21:05 バスタ新宿~0:15 松本バスターミナル~1:00 就寝
16 時に部室に集合し、1 年生の装備チェックとパッキングを行う。1 年生の装備チェックは合宿準備の時と出発日の前日にも行っていたが、初めての合宿であるので、入念に行う。団体装備の重量は 1 年約 8.5 ㎏、2 年生以上 9~10 ㎏であり、総重量は 30 ㎏以下であったと思う。部室に高田OBが来てくださり、差し入れとして 1 万円も頂いた。あり
がたく頂戴し、先発隊は 19 時、後発隊は 20 時に部室を出発し、バスタ新宿に向かう。20時と 21 時発の高速バスに乗り松本には 23 時過ぎと 0 時半頃全員到着した。バスターミナルから松本駅に移動しいつもと同じく駅ピアノの前で就寝。

6月 25 日(火) 天気:曇りのち雨 気温:20℃(上高地)
5:00 起床~5:30 松本バスターミナル発~7:10 上高地~7:45 出発~9:05 明神 9:15~10:25
徳澤園 10:35~11:50:横尾山荘 12:15~13:55 本谷橋 14:10~17:15 涸沢~21:00 就寝
5 時に起床し、5 時 30 分松本発のバスに乗り上高地に向かう。7 時 10 分に上高地に到着し、水汲みやスノーバー、ピッケルの外付けを済ませ、7 時 45 分に上高地を出発。御山を先頭に高橋、柴山、大元、石川、金子、日高、本橋、吉澤のオーダーで歩く。だいたいコースタイムと同じぐらいのペースで出発から 1 時間弱で明神に到着した。1 年生の多くが肩を痛がっていたが、初めてのガッシャーは誰でもそうなるものだ。10 時半前に徳沢に到着。上条社長は不在だったため横尾に向かう。横尾には徳澤から 1 時間 15 分ほどで到着した。 ここでタイムリミットギリギリであることと、本橋がだいぶ疲れていたことから横尾で泊 まるか上級生で話し合った。荷物を抜いてはどうかという意見が上がった一方、合宿の意義 的に問題ないだろうかという意見もあった。だが、荷物を抜き、ペースも落とせば本橋も歩けるとのことだったので本橋の団装を抜いて出発した。無理そうであればいつでも引き返 せることと、この先本谷橋までは危険な箇所もないという理由も大きかった。 やはり横尾を出た辺りあたりから、本橋の疲労が顕著になり先頭の御山との間が開き始め る。御山には間が開かないようにペースを調整するように伝える。何度か小休憩を挟みつつ 本谷橋までは何とか歩けたが、本谷橋を出てすぐの急登は危険とのことで、さらに個装も一 部を荷抜きして上級生に分配した。この辺で雄大コーチが合流した。何度か休憩を挟み山荘直下に来たところで初めて雪が出てきた。ここで 1、2 年生にはアイゼンを履かせピッケルを持たせる。17 時 15 分に涸沢に到着。計画では少し訓練をする予定であったが、時間 と 1 年生の疲労具合を考慮し訓練はせずに幕営し、1 年生に生活技術を教えながら夕食を 作る。テント割はスタードームには吉澤、金子、御山、本橋、石川、雄大コーチ。エスパー スには大元、柴山、日高、高橋。夕食を食べ 21 時に就寝した。

 

 

↑横尾大橋を渡る上村コーチ

6 月 26 日(水) 天気:曇りのち雷雨のち晴れ 気温:8℃

4:30 起床~6:20 出発~6:40 雪上訓練開始~12:30 訓練終了~13:00 帰幕~18:30 就寝

4 時半に起床した。4 時には外はすっかり明るかったので明日からは起床時間を 30 分早めることに決めた。1 年生は初の朝の炊事であったが、起きてから火をつけるまでの時間や、炊事の手際、個装を探す、アイゼンをつけるスピードなど課題はたくさんあった。結局
目標の 5 時半発から 50 分オーバーしてしまった。上記の問題点とその解決策を 1 年生に 伝え、明日は間に合わせるようにと指導した。また、2 年生も炊事を無闇にやってしまうの ではなくしっかり指示を出すように伝えた。今日は午後から雨の予報なので時間が限られるということも伝える。6 時 20 分に出発し、雪上訓練は前穂側の落石のリスクが少なそう な斜面を選んで行った。雪上訓練はまず初期停止を練習した。その後は 1 年生 1 人に対し て上級生 1 人が付き、アイゼン歩行 1 時間、ツボ足 1 時間を行った。まず、形を覚えさせ、次に蹴りこみの強さをあげていく事にした。2 時間行った結果、まだ蹴りこみは弱いが 型は身についてきたと感じた。その後 1 時間半スタカットを行う。やはり雪の上でやると中々苦戦していた。同じミスを繰り返す場面が多く翌日への課題が残った。最後は滑落停止 を行った。1 時間で全員及第点のレベルまで達することができた。12 時を少し回ったところでやはり雨が降り出し、雷も鳴り出したため、早急に帰幕する。テントの中で物乾をしな がら天気が回復するのを待つが、それから 2 時間半降り続いた。テントの中でスタカットの手順を確認しつつ、炊事の復習や個装整理などについての指導を行う。15 時過ぎにやや 弱くなり始めたが、前日の疲労もあったため、今日は早めに炊事の準備をして寝ることにした。涸沢ヒュッテの方に鍋いっぱいのおでんを差し入れしていただきそれを全員で食べた。 今日の訓練の遅れを取り戻すため、翌日は 3:30 起床とし、就寝した。

↑訓練前のひととき。

↑雪訓中。残雪は豊富だった。

モルゲンロートを背に雪訓の準備をする一年生。

6 月 27 日(木) 天気:晴れ気温:9℃ 

3:30 起床~5:40 出発~6:00 雪上訓練開始~16:50 訓練終了~17:05 帰幕~20:15 就寝 3 時半に起床した。出発まで 1 時間を目標とした が、1 時間 35 分かかってしまった。昨日に比べて手際は良くなっていたが、まだ起きてか ら火をつけるまで 5 分かかっている、朝に個装を探すなどまだまだ改善の余地があると感 じた。スタードームが建っている周辺の雪が雨と高で溶けてしまいテントが歪んできたた め、テント撤収の練習の意味も込めて引っ越しを行う。エスパースも同様に行った。雪上訓 練は昨日と同じ場所で行った。まず支点構築を 30 分行い、歩行訓練を 3 時間行った。歩行 は全員及第点に達したと判断し、終了した。ここで本橋は体調不良を訴えたため、テントで 休ませることにした。次にスタカット訓練を行う。準備は 10 分以内を目指し、2 回チャレ ンジしたが間に合わなかった。また、スタカット自体も初めはミスが多く時間もかかってい た。1pに 30 分近くかかるなど、まだまだだった。特に支点構築に時間がかかるのとロー プの引き上げなどが課題だった。午前 11 時頃、本橋を下山させるかどうか、本人も交えて
話し合い、雄大コーチと一緒に下りることにした。スタカット終了後は懸垂下降の練習を行った。午後 15 時頃上村コーチと三田村が到着した。その後さらに歩行訓練 1 時間と Fix 通 過の練習をした。この時点で歩行に関してはかなり仕上がっていた。さらに 30 分ほど滑落 停止訓練を行い、17 時前には訓練を終了し、帰幕した。夕食後、スタカットのタイムをミスなく全員が切れることを奥穂高岳アタックの条件とすることを上級生や 2 年生と確認し、 それを 1 年生にも伝えた。明日は予定通り 5,6 のコルに行くと伝え、特に気合を入れて頑張るように伝えた。就寝前の 30 分を一年生の復習タイムとし、20:15 に就寝した。

訓練へ向かう。

6 月 28 日(金) 天気:晴れのち曇り気温:9℃
3:30 起床~5:00 出発~5:20 雪上訓練開始~6:30 訓練地出発~14:30 スタカット終了~
15:30Fix 通過~16:30 帰幕~19:30 就寝
3 時半に起床した。朝の炊事については起きてから火をつけるまでは 3 分に短縮されたが、
依然として朝に探し物をするなど、生活技術に関してはまだまだである。昨日と同様、テント撤収の練習を行う。昨日よりもパッキングが早くなっており、成長が見られた。5 時 00
分に出発し、5 時 15 分過ぎ過ぎに雪上訓練を開始した。初めの 20 分は支点構築に使い、次の 1 時間では全員で滑落停止の復習とアイゼンでの歩行訓練を行う。一年生は昨日までと比べるとかなりうまくなっていた。全員 6 時半に 5,6 のコルに向けて出発した。ある程度の所まではアイゼン歩行で登り、斜度が急になってきたところでロープを出してスタカットを開始した。三田村は去年の新雪期から入ったため、まともにスタカットのタイムアタックはできていなかったため、御山と金子が交代でペアを組みスタカットを行った。こちらには大元と上村コーチがついた。当然三田村がタイムを切れない場合も居残りになる。吉澤と柴山と日高は高橋と石川を見た。三田村、金子、御山のグループは 4P ほどやったところで 1P20 分を切るとともに、準備を含めて 2P40 分というノルマを達成することができた。そのままの勢いで 5,6 のコルへ向けてスタカットで進み、ある程度行ったところでロープを
しまい、5,6 のコルで 20 分ほど休憩した。一方一年生ペアは中々タイムを切ることができず、全て合わせて 1 時間を切るのがやっとだった。また、致命的なミスなどもあり中々に苦戦したが、柴山と日高が熱心に教えたことでタイムは切れなかったもののミスは無くなった。あとは悩んでいる時間やロープの引き上げの時間、支点構築などの時間を縮めるだけというところで 2 人の疲労がピークに達していたため、14 時半に切り上げ、懸垂下降を行いシステムの確認を行った。長めの休憩をとり Fix 通過とした。Fix 通過はとても覚えがよく、アイゼン歩行も合格点に達している。また、懸垂下降もしっかりと覚えられている。しかし 肝心のスタカットが時間を切れていないため奥穂にアタックできる条件が揃っていない。 上級生と上村コーチで話し合い、明日の朝 2 時間ほど時間を与え、それでもタイムを切れ ない場合は予備日を使用しスタカットやアイゼン歩行を行う訓練日にすることとした。 16:30 に帰幕し、19:30 に就寝した。

↑スタカット中。スノーバーぶっ刺し中。

↑5,6のコル。北尾根は以前と比べて草が茂っているように感じた。

↑5,6のコルへ引き続きスタカット。

↑5,6のコルで腕立てする御山。

6 月 29 日(土) 天気:晴れ 気温:10℃


3:30 起床~4:27 出発~4:45 雪上訓練開始~6:15 訓練地出発~8:24 白出のコル(穂高岳山
荘)~9:30 奥穂高岳山頂 9:50~10:40 白出のコル 11:00~15:30 確保三種~16:30 帰幕~
20:00 就寝
3 時半に起床した。朝の炊事はこれまでで一番手際よくできていた。スタードームもエスパ
ースも時間内に出発準備をする事ができた。天気は良く、昨日と同じく気温も高かった。今日タイムリミットは 7 時までとし、その時間内にスタカットがノルマを切れなければ予備日を使用し訓練となる。しかし、しっかり寝て元気だったこともあり 1 発で成功させた。大きなミスどころか小さなミスもなくしっかりと時間内に終わった。課題だったロープの引き上げや支点構築などは、疲労によるものが大きかったかもしれない。何はともあれしっかり時間を切ることができた。念の為懸垂下降もテストした。2 人とも問題なかったため、素早く準備し、奥穂へのアタックに向かう。ここで上村コーチとはお別れだった。2 人ともスムーズに進み 1P 目は安全なところで休憩するために 1 時間と 5 分くらい歩いた。やはり晴れているととても暑い。滑落の危険があるところはフォールラインに 2、3 年生が入り、吉澤も少し下で全体を見ながら歩いた。雪が腐っているため穂高岳山荘への道のりの後半は スピードも落ち、一年生は時折足を滑らせていたためアイゼンを強く蹴り込み焦らず歩くよう伝える。最後は全員で声を掛け合って穂高岳山荘へ。ここでスコップとスノーバーは残 置し、アイゼンを外してザックはしまう。ピッケルだけは手でもつように指示を出す。山荘 より上は雪が一切なくとてもスムーズに進む。9 時半には山頂に到着し記念写真を撮り、少し長めに山頂を楽しんだ。9 時 50 分に下山を開始し 11 時には山荘からの懸垂下降を開始 した。懸垂は全部で 5 ピッチ行った。先に降りるものがロープを持ち、大元に支点づくりは 任せて吉澤は支点の回収をした。15 時半からあまりできていなかった確保三種を行い、16 時半に帰幕。翌日は下山を残すのみとして夕飯を食べ 20 時に就寝した。

↑快晴のアタック日。これまでより格段に暑くなった。

↑上級生が一年生のフォールラインに入る。

↑穂高岳山荘から出発。もう少し!

↑奥穂高岳山頂!冬山では持っていかなかったGoPro用の棒が活躍。

6 月 30 日(日) 天気:晴れ 気温:9℃

 4:00 起床~5:14 出発~6:43 本谷橋 6:53~7:50 横尾山荘 8:01~8:50 徳澤園 9:50~11:15上高地=下山
4 時に起床した。訓練はすべて終了したのでまっすぐに下山することにした。5 時 15 分の目標タイムも切ることができた。ただ、まだまだ2年生が主体で行っている部分があるので、今後は一年生が主体となってできるようになってもらいたい。また、まだパッキングが遅く生活技術に関してはまだ改善していく必要があると感じた。涸沢ヒュッテの直下の下りは、斜度が緩く、踏み跡もあったのでピッケルを出し、アイゼンは付けずに下った。雪が腐っていたのでトレースの無い場所の方が歩きやすかった。1 年生は滑りやすい雪にやや苦戦していた。その後は順調に高度を下げ 1 時間ほどで本谷橋に到着した。横尾には 8 時前に到着し、休憩した後徳沢を目指す。徳澤園ではアイスとピザ、飲み物を頂いた。徳沢でいったん解散し、徳沢から先は 11 時 40 分のバスに間に合うように各自のペースで上高地まで向かった。11 時には最後尾も上高地に到着し、新人合宿を終了した。上高地からはバス と電車を乗り継ぎ、松本に向かう。風呂に入ったあと、駅前の王将で高田 OB からいただいたお金でご飯を食べ、各々帰京した。(文責:吉澤)

↑帰りの横尾大橋。もうすぐと思いきやここからが長い。

↑上高地といえばこのアングル?

↑観光客が多い中異様な存在感を放つデカすぎるガッシャー。

最後はたらふく食べてから帰京。