2024年度前穂高岳北尾根

1.日程
2024年9月7日(土)~9月10日(火)

2.対象
前穂高岳北尾根・ジャンダルム

3.メンバー
4年 岩波(C.L.)、3年 吉澤(S.L.)、1年 金子、御山

4.概要

9月7日(土) 天気:晴れ
20:00部室集合~22:00部室出発~24:15池袋サンシャインバスターミナル出発

20時に部室に集合した。6日に団体装備のチェックを行っていたので、個人装備のチェックとパッキングを行う。1時間余りで終了し、大学の閉門時間である22時に部室を出発した。早稲田駅から都電に乗り、池袋サンシャインバスターミナルに向かう。24時15分発の夜行バスに乗り松本に向け出発した。

9月8日(日) 天気:晴れのち曇り 気温:11℃
5:30松本駅東口着~6:31松本駅出発~7:01新島々駅~8:15上高地BT~8:39上高地出発~9:56明神館10:05~10:50徳沢園11:04~11:53横尾山荘12:04~12:58本谷橋13:10~14:47涸沢ヒュッテTS~18:00就寝

5時半に松本に到着し、始発の上高地線に乗り上高地へ向かう。上高地には8時15分に到着し、8時39分上高地を出発。上高地から明神間の遊歩道は台風被害により通行止めであったので、河童橋を渡り普段と反対側の右岸側の道から明神にアプローチする。徳沢園で挨拶を済ませ、12時前に横尾に到着。午後から天気が悪くなる予報であったが、その気配はなく、天気は悪くなかった。横尾から約1時間で本谷橋、本谷橋から休憩1回を入れて約1時間半で涸沢に到着した。新人合宿の時と比べると1時間以上タイムを短縮することができた。涸沢で天気予報を確認したところ明日の昼遅くにかけにわか雨が降る予報であったので、早目に出発することにし、明日は2時起きにすることとした。その後夕食を食べ18時に就寝をした。

9月9日(月) 天気:晴れのち曇り時々雨 気温:13℃

2:00起床~2:59出発~4:11 5.6のコル4:44~5:22Ⅴ峰~7:25 Ⅳ峰~9:00 Ⅲ峰登攀開始~14:45Ⅱ峰~15:17前穂高岳15:48~17:43奥穂高岳17:50~18:21穂高岳山荘~20:12帰幕~22:00就寝

↑Ⅳ峰のロープを張った箇所。
右側が崖になっており危険。
↑Ⅴ峰からⅣ峰を望む

2時に起床し、2時59分に出発した。5.6のコルまで1時間半程度と考えていたが、想定よりも早く1時間ほどで5.6のコルに到着した。しばらく待機し、明るくなった4時45分に5.6のコルを出発。Ⅳ峰までは特に問題もなく順調に進む。Ⅳ峰の途中で直上するのか、左にトラバースするのか迷う場面があった。どちらも同じぐらいガレていたため、判断が難しかったが、両方偵察した結果、直上するとワンポイント不明瞭な箇所があるが、そこを超えれば稜線上を歩けることが分かり、直上した。Ⅳ峰頂上付近で1カ所危険なところがあったのでロープを張り、Fix通過した。Ⅳ峰から3.4のコルまでは特に危険な箇所はなく、コルに到着。コルで登攀の準備をして、コルから20mほど登ったところにあるテラスに支点を取り吉澤リードで登攀を開始。1p目はややトポのルートを外れていたが、難易度的にはあまり問題はなかった。2p目は問題なく終了。1,2pともに40mほどだった。(今回は60mロープを持って行った。)2p目の終了点から踏み跡があったため、ロープをたたみ踏み跡に沿って歩いたが、1カ所ロープなしでは危ないところがあったので、ロープを張って1人ずつ登った。(システムは夏山の源次郎尾根と同じ)登りきると岩塔の下に着いたが、登るのは難しそうであった。ロープを張ったところの手前を右にトラバースできそうであったので、懸垂下降でロープを張ったところの手前に戻った。そこから右にトラバースできるか偵察をしてみたが、このころから霧が出てきており、はっきりは見えなかったが、どうやら稜線までつながっていそうだった。また、左側は切れ落ちており、直上は先ほどの岩塔に突き当たってしまうので左にトラバースする以外選択肢がなかった。左にトラバースすると、階段状の岩場が出てきて、そこを登り稜線を目指す。少し登ると右にも左にも行けそうな場所がでてきた。また、雨も降ってきたので、1年生には雨具を着せ安全な場所で待機させ、岩波は左、吉澤は右をそれぞれ偵察し、ルートを探した。2人とも稜線上に出ることができ、稜線の切れ目で合流した。

↑Ⅱ峰の懸垂

そして、懸垂支点も見つかった事から、ルート上に復帰できたことを確信し、より安全な岩波が通ってきた左側のルートから懸垂点まで1年生を登らせる。途中のやや危ない岩の登りは1年生は空荷にし、ザックを後で押し上げた。7mほど懸垂し、踏み跡に沿って前穂高岳を目指す。このころには雨はやんでいた。15時過ぎに山頂に到着し、しばし休んだのち、吊尾根経由で奥穂高岳に向かう。コースタイムより早く17時半過ぎに奥穂高岳山頂に到着し、5分休んだのちに下山開始。18時21分に穂高岳山荘まで下山し、山荘からはヘッテンをつけ小豆沢を降りた。20時過ぎに帰幕した。帰幕後、帰幕時間から考えて、明日早朝から行動するのは危険なこと、涸沢からでは新穂高温泉までコースタイムで11時間ほどあり、途中で雨に降られてしまうリスクがあることを考慮し、ジャンダルムは中止し上高地に下山することにした。夕食を食べ22時に就寝。

↑前穂高岳山頂。苦労した分達成感あり!

9月10日(火) 天気:晴れ一時雨 気温:14℃
6:00起床~7:12出発~8:35本谷橋8:45~9:41横尾山荘9:50~10:44徳沢園11:00~11:59明神館~12:54上高地=下山

6時に起床し、撤収をして7時12分に涸沢を出発。順調に高度を下げ8時35分に本谷橋、9時41分に横尾に到着した。徳沢園で下山の報告を済ませ、徳沢からは各自上高地に向かう。途中で雨が降ってきたが、樹林帯の中だったので大きな影響はなかった。上高地で再び集合し、上高地13時20分発のバスに乗り松本に向かう。松本で入浴とカレー屋で食事を済ませて、19時松本発の高速バスに乗って帰京した。

5.総括
今回の山行の目的は、バリエーションルートでの技術向上、岩稜帯の通過の経験を積むことであった。バリエーションルートでの技術向上という面では、今回はルートファインディングという課題が見られた。バリエーションルートなので、所謂「正解」のルートはないが、検討事項に書いた通り登攀以外のルートも事前にある程度詳しくリサーチをする必要を感じた。
1年生は新人合宿の時に比べて、体力や生活技術の面で大きく成長が見られた。この調子でこれからも頑張ってほしい。
結果的に今回の山行ではバリエーションルートらしいルートファインディングやハーケンなどが何もない場所でカムなどを利用してロープを張ること、雨天時の岩稜帯の通過を経験することができ、時間はかかってしまったが、前穂北尾根には登頂することができた。
今回の良かった点は続け、悪かった点は改善し秋のシーズンでさらにレベルアップできるように、頑張って行こう。(文責:岩波)