2024年度春山合宿

1.日時
2025年3月6日(木)~3月11日(火)

2.対象
北アルプス 剱岳早月尾根

3.メンバー
4年 岩波(C.L.) 3年 吉澤(S.L.)、上村 2年 大元 1年 柴山、金子、三田村 合計7名

4.概要
3月6日(木) 天気:曇り

16:30(新幹線組)/17:30(高速バス組) 部室集合~23:20鍛治屋橋駐車場出発(高速バス組)

今回は荷物が多いため、富山まで新幹線で行く組と高速バスで行く組に分かれた。レーションは今回合宿に参加しない御山に前日に富山まで運んでもらった。新幹線組は16時半、高速バス組はその1時間後に集まる。18時ごろに高田OBが見送りに来てくださった。全員で個装チェックとパッキングを行い19時頃には終了する。その後夕食を済ませて新幹線組は20時ごろ、高速バス組は22時ごろに部室を出発した。新幹線組は6日中に富山に到着し、富山駅前にてビバークした。

3月7日(金) 天気:雪のち曇り 気温:0℃(馬場島)

6:35富山駅着(高速バス組)※新幹線組は前泊~7:05富山駅出発~(富山地方鉄道)~7:33上市駅 7:40~(タクシー)~9:27伊折発~14:07馬場島~15:50 890m付近幕営地~21:00就寝

夜行バス組は6時半頃に富山に到着し、電鉄富山駅前で新幹線組と合流。先に富山に入っていた御山からレーションを受け取り、7時過ぎに電鉄富山駅から上市駅に出発。上市からは前日に手配したジャンボタクシーに乗り込み伊折に向かう。伊折で着替え等をデポし、9時27分に伊折を出発。道路は除雪されておらず、ワカンを履いて行動。交代でラッセルをしながら5時間ほどで馬場島に到着した。時間が時間なので今日は馬場島で幕営するつもりだったが、山岳警備隊の方に挨拶に行った際に今日入山した警備隊の方のトレースがついていることを伺い、もう少し上部まで行くことにする。また、あいさつの際に県警の方との連絡方法を確認した。トレースに沿って登り、松尾平の手前の標高890m地点で幕営した。夕食を食べ21時に就寝。

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↑890m地点の幕営地にて。

3月8日(土) 天気:晴れ 気温:-12℃

4:00起床~5:58出発~6:50松尾平~10:35 1550m地点~12:30 1750m地点~13:20 1920m地点~15:52丸山~16:00早月小屋C3~21:30就寝

4時に起床。6時前に出発。早月小屋まではトレースがあることがわかっていたので、最低でも計画の1750m地点、できれば早月小屋までを目指して進む。トレースがついていることに加え、雪が締まっていることもあり、そこまで雪に沈むことなく重い荷物に苦しみながらも、全装で1時間に100m~150mのペースで上っていく。13時頃に1920mに到着した。ここで後から登ってきた鈴木雄大コーチのパーティーにお会いした。ここで、先に進むか否かを話し合ったが、9日から10日にかけて好天でアタック日和であることから、雄大コーチの助言もあり今日中に早月小屋まで登ることにした。2時間半ほどで早月小屋に到着し、小屋にいた県警の方に挨拶をして小屋の近くに幕営した。夕食を食べ21時半に就寝。

↑早月小屋までもう少し!

3月9日(日) 天気:晴れのち曇り 気温:-8℃

4:00起床~6:15出発~7:36 2450mAC~20:00就寝

4時に起床。出発に手間取り6時15分に出発。少しでも荷物を軽くするため、アプローチ用と下山用の食料とガスを早月小屋にデポした。早月小屋より上は風が強くトレースはほとんど消えている。急斜面を直登せずつづらで登っていく。途中で下山してくる警備隊の方とすれ違った。1時間半ほどでAC予定地の2450m地点に到着した。風は強いが天候は良い。ここで予定通り工作隊と設営隊に分かれて、工作隊は上部にルート工作を行うことにした。本来は大元も工作隊に加わる予定だったが、前日からの体力消耗が激しいことから設営隊とした。工作隊は吉澤、上村、柴山とし、設営隊は岩波、大元、金子、三田村とした。約1時間ごとに工作隊から定時連絡をし、3時間たっても連絡がない場合は設営隊から連絡するという事を取り決めた。

・工作隊(吉澤・上村・柴山):8:35出発~11:27 2600m地点~11:33 2614mピーク(ピラミッド)Fix3本目12:29~14:02 2650m地点(エボシ岩)Fix4本目~15:10 2720m付近・工作終了引き返し~17:20帰幕

8時35分にACを出発。2550m地点で警備隊の張ったロープの横に1本目のFixロープを設置。続いて1本目のロープの終了点のすぐ上に2本目のロープを設置。2600m地点では警備隊の方が幕営していた。2614mピーク通称ピラミッドはやや池ノ谷側にトラバースし3本目のFixを設置した。14時にはエボシ岩にて4本目 のFixを張り、シシ頭手前直線距離70m地点までに合計4本のロープを設置。到達地点から1回懸垂下降をして2720m地点まで降り、懸垂ロープは残置した。17時20分に帰幕。

↑ピラミッドにて3本目のFIXを設置中。

・設営隊(岩波・大元・金子・三田村):ACにて幕営終了後停滞

登攀具等をすべて工作隊に渡し、工作隊を見送った後幕営を行う。整地とテントの固定が終わったところで1年生をテントの中に入れ水作りをさせ、岩波と大元で雪ブロックを積んで風防を作った。風が強いので入念に作成した。13時ごろにはすべてが終了し、定時交信で工作隊との連絡を取りつつ、17時帰幕予定との連絡を受けたので食事を用意して工作隊を待った。

↑幕営地より山頂を望む。

夕食時に、あとシシ頭に1本張れば予定した工作が終了すること、11日の天気が入山前の予報より良くなっており、アタック終了後必ずしも早月小屋までテントを下げなくともよさそうなことから、タイムリミットを11時に設定し、明日アタックをすることにした。また、アタックに失敗した場合でも、12日に再アタックするためにロープは回収しないことにした。夕食を食べ20時就寝。

3月10日(月) 天気:晴れ 気温:-7℃

4:00起床~5:30出発~9:23シシ頭通過完了~9:33カニのハサミ~10:43剱岳山頂10:55~16:47帰幕~21:30就寝

4時に起床。5時半に出発。天気もよくアタック日和だ。ただし風が強く、声が聞こえないことがあるので合図にはホイッスルを使用した。隊を先行しシシ頭にFixを張る先行組と下山に不要なロープを回収する回収組に分けて効率よく前進する。前日に張ったロープを利用しFix通過しながら登る。1本目のFixのみ回収し残りはそのまま残置した。シシ頭のやせ尾根で1本ロープを張り、9時23分には全員通過を完了した。ここで先行組と回収組が合流した。カニのハサミまでは特に問題なく歩き、カニのハサミで1本、それに続くク―ロワールでは上村リードで2ピッチロープを張りFix通過した。そこからは直線で100mほどを歩き、10時43分ついに念願の剱岳山頂に到着。山頂からは日本海まで一望できる。記念撮影をして、しばらく休み下山開始。クーロワールに張ったロープは2本目Fix通過、1本目とその直後は25m懸垂下降。カニのハサミ(本日設置した2本目)はFix通過シシ頭、エボシ岩は懸垂下降、ピラミッドと2600m直下(昨日設置したロープのうち下から数えて2本目)はFix通過した。2550m地点は良い支点が取れなかったのでボラートを作り支点として50m懸垂下降した。しかし、ボラートはロープを引くのがとても大変であったので、最後尾の上村は確保しながらクライムダウンで下降した。17時頃に全員帰幕した。夕食は予備の食パも開放したくさん食べ、21時半に就寝した。

↑ルンゼをリードする上村。

3月11日(火) 天気:曇りのち雨 気温:3℃

5:00起床~6:50出発~8:15早月小屋~10:50松尾平~12:51馬場島13:50~17:05伊折=下山

9日、10日共に朝は特に風が強かったので、起床時間を遅め5時に起床、7時に出発した。ACから早月小屋まで慎重に下山する。早月小屋でデポ品を回収し、警備隊の方に挨拶をして8時15分に早月小屋を出発し馬場島に向けて下山開始。クライムダウンを多用しながら慎重に下る。途中で後から下山してきた山岳警備隊のパーティーに追い抜かれる。しかし、予想以上にスムーズに下山しすることができた。松尾平あたりから雨が降ってきて、全員ヤッケが濡れてしまった。13時前に馬場島まで下山。「試練と憧れ」の石碑を文字が見えるところまで掘り出し記念撮影。そして、お世話になった警備隊の方にお礼を言い、濡れてしまったこともあって今日中に伊折まで下山することにして14時前に馬場島を出発した。伊折までは各自のペースで歩いた。道は途中からは圧雪されていたものの、濡れて寒いこともありとても長く感じる。17時過ぎまでには全員伊折に到着した。手配していたジャンボタクシーに乗り上市駅に向かう。上市駅からは富山地鉄に乗り19時ごろには富山に到着。風呂で汗を流し、全員で食事をして、夜も遅かったので富山で一泊して翌日別々に帰京し合宿を終了した。

↑早月尾根の代名詞試練と憧れの石碑にて。

5.総括

全員が剱岳の山頂に立つという目標に向けて団結し、合宿に参加できなかった部員も含めて、当日の準備や荷物の輸送、ACまでの荷揚げ、ルート工作、Fix回収、設営、炊事などのそれぞれの役割をしっかりこなした結果、天候やトレースの幸運にも恵まれ、剱岳登頂という最高の結果を掴めた。今年の積雪期シーズンは思うように結果が出なかった山行も多かったことから、最後の合宿で最高の結果を得られたのは大きな喜びである。まさに1年の総決算にふさわしい合宿になった。上級生は、2年間目指してきた目標であり感慨もひとしおである。

合宿中に特に素晴らしかった点は、ルート工作時に工作隊と設営隊の間で定時連絡の時間を決め現在位置をタイムリーに把握できたこと、事前の打ち合わせでFixを張る箇所をしっかり上級生の間で共有し、アタック当日も前進班と回収班に分かれ、どのロープを回収し、どれを残置するのかを事前に決めておいたためスムーズにロープの設置と回収ができたこと、行動中もコミュニケーションを積極的にとりロープを持っている部員を先行させロープがなくて後続パーティーを待つという時間のロスをなくしたことの3点である。何事においても事前準備と現場でのコミュニケーションは大事である。一方で、生活技術については手順や効率性に改善の余地がある。この点は来年度以降頑張ってほしい。

私が行動報告を書くのもこれが最後であるが、最後の行動報告で文句なしの成功を報告できて大変うれしく思う。現役最後の山行をこのように素晴らしものにしてくれた後輩たちに感謝したい。ありがとうございました。

後輩達にはこの経験を自信にして、新たな自分のやりたい「登山」を見つけ、その目標に向かってこれからも努力を続け、山を楽しんでほしい。(文責:岩波)

↑剱岳山頂にて。