2024年度夏山合宿

1.日程
2024年7月31日(水)~8月14日(水)

2.対象
定着合宿:北アルプス 剱岳周辺
縦走合宿:南アルプス 北岳~光岳

3.メンバー
4年 岩波(C.L.)  3年 吉澤(定着S.L. 装備)、上村(縦走S.L. 医療・気象) 2年 大元(食料) 1年 金子、柴山、田代(7/31~8/7)、日高、御山、鈴木雄大コーチ(8/1~5)

4.概要

7月31日(水) 天気:雨
19:00部室集合~22:00部室出発~23:35バスタ新宿出発

大雨の中、19時に部室に集合し、個人装備のチェックとパッキングを済ませる。計画では縦走合宿の荷物は東京から松本に送る予定であったが、大雨の中荷物を営業所まで運ぶのは骨が折れるので、手分けして室堂までもっていき、室堂で預かってもらうことにした。大学の閉まる22時に合わせて大学を出発しバスタ新宿に向かう。バスタ新宿には高田OBが来てくださり、差し入れを頂いた。23時過ぎに夜行バスに乗り込み富山に向けて出発した。

・定着合宿

8月1日(木) 天気:晴れ 気温:18℃
6:20富山駅~7:06電鉄富山駅出発~8:16立山駅~10:53室堂出発(鈴木雄大コーチと合流)~11:29雷鳥沢~13:53別山乗越(剱御前小舎)~14:44剣沢野営場~19:00就寝

6時過ぎに富山駅に到着し、電鉄富山駅から富山地鉄に乗り、立山駅まで行く。立山駅からは立山黒部アルペンルートを使い室堂に到着した。室堂で縦走の荷物を預け、水汲みなどの入山をする支度をしているうちに、後の便で来た鈴木雄大コーチと合流した。11時前に室堂を出発した。雷鳥沢を超え、別山乗越までの雷鳥坂の登りに入って10分もしないうちに田代がバテて遅れだした。他の一年生はまだ余裕がありそうだったので、田代と上村を本隊から分離し後からついてきてもらうことにした。田代以外の1年生も登りの最後のほうになると、日高が大元から遅れるなど苦しそうではあったが、14時前に別山乗越に到着した。少し休憩した後、剱沢野営場に向け出発した。40分強で野営場に到着し幕営した。今年も立教や中央など多くの大学山岳部が剱沢に来ていた。明日は登攀隊と訓練隊で起床時間が異なるので、1日夜だけテント割を登攀隊はエスパース、それ以外をスタードームとした。

↑電鉄富山駅にて荷物輸送中の大元と御山

その後16時に夕食を食べ19時に就寝した。

8月2日(金) 天気:晴れ 気温:20℃

登攀隊(3年生+鈴木雄大コーチ): 2:00起床〜2:55出発〜4:15長次郎谷出合〜6:21池ノ谷乗越6:31〜8:15取付到着〜8:28登攀開始〜13:10チンネの頭〜13:25懸垂下降開始〜14:25池ノ谷乗越〜16:00長次郎谷右俣到着(FIXスロープ1箇所準備)~17:05長次郎谷出合〜18:42帰幕

出発から池ノ谷乗越まで問題なくスピーディーに到着する。その後、池ノ谷ガリーから三ノ窓乗越までが思いの外時間を要したため、取り付きへの到着が15分遅れる。チンネの登攀は思っていたより快適でスムーズに各ピッチをこなし、11時45分時に核心の9ピッチ目まで来ていたため頭まで抜けることを選択。13時10分に頭に到着。13時25分から懸垂を開始し、ガレ場を慎重に登って池ノ谷乗越から長次郎谷を下っていく。翌日の八ツ峰登攀に向けFIXを張っておくことを決め、雄大コーチに指導を受けながら上級生がロープを設置する。タイムリミットの19時に間に合わせるためやや急ぎ足で夏道を登り18時42分に剱沢野営場へ到着。

 今回のチンネ登攀は非常に良い経験であったし、雄大コーチからたくさん学ぶところがあった。体力面ではほとんど申し分なかったと思うが、支点の作成時に選択したピナクルやクラックがボロかった場面などが あったのでその辺はたくさん外岩マルチで特訓する必要があると感じた。(文責:吉澤)

↑チンネ左稜線登攀。後ろには雄大な景色

訓練隊(岩波、大元+1年生):3:00起床~4:27出発~5:24剱沢雪渓入渓~5:37武蔵谷出合~5:55平蔵谷出合~6:24長次郎谷出合~7:30下山開始~9:19剱沢雪渓入渓点9:24~10:25帰幕~12:08剱沢出発(岩波、大元、金子、柴山)~14:17別山岩場トップアウト~14:57別山北峰15:08~15:13別山15:16~15:55帰幕~20:00就寝

3時に起床した。4時に出発したかったが、調理や個装の準備に手間取り4時27分出発になってしまった。まだ生活技術が不完全だと感じた。アイゼン歩行の練習と明日以降の偵察を兼ねて長次郎谷を可能なところまで登ることにした。5時半前に剱沢雪渓に入渓した。剱沢雪渓のうち平蔵谷出合から長次郎谷出合までの間は雪渓が崩落しており夏道を使用した。長次郎谷出合には6時24分に到着した。雪は少ないが去年に比べればたいぶ雪渓の状態は良かった。長次郎谷を1時間ほど登ると雪渓が切れている場所に当たりそこから引き返す。帰りは雪渓から右岸側に乗り移ることのできる場所を探しながら下山する。田代が遅いのは気になったが9時過ぎに入渓点、10時25分には剱沢野営場に到着した。その後、岩波、大元、金子、柴山の4人で別山岩場に行くことにした。1年生もいるので、メジャーな中央稜ではなく、ピッチの短い左岩稜に行くことにした。12時に剱沢を出発して30分ほどで取付きに着いた。色々なルートが取れそうだったが凹角を大元リードで登る。トポは2ピッチだったが1ピッチで終わった。どうやら正規ルートではなかったらしい。そこから意外と長い岩稜歩きを経て別山北峰に出た。そこから別山山頂経由で16時前には剱沢に帰幕した。その後夕食を作り登攀隊の帰幕を待った。

↑別山山頂にて。右から金子、柴山、大元、岩波  

登攀隊と合流後、FIXロープを設置している関係で、計画とは異なるが明日は全員でCフェースを登攀することにした。すでに20時近かったので、明日は3時起きとし、ペース的に長次郎谷の途中で追いつけそうなので、長時間行動した登攀隊は1時間遅い4時起きとし就寝した。

8月3日(土) 天気:晴れ 気温:19℃
3:00起床~3:56出発~4:39剱沢雪渓入渓点4:49~5:18長次郎谷出合5:26~6:16FIXロープ設置地点

第1(上村L、金子、柴山)・第2(鈴木雄大コーチL、吉澤、日高、御山)パーティー:9:04登攀開始~11:40 Cフェースの頭(上村、金子、柴山)~12:00 Cフェースの頭(雄大コーチ、吉澤、日高、御山)~12:40懸垂開始~14:30懸垂終了~17:30長次郎谷出合~19:00帰幕

先発隊(上村、金子、柴山)は9時に登攀開始。後発隊(雄大コーチ、吉澤、御山、日高)は先発隊が1ピッチ区切ったあたりで出発。一年生は怖がっていたものの、登攀に問題はなかった。先発隊はロープの長さが足りたため、3ピッチで頭まで着いたが、後発隊のロープの長さが足りず、4ピッチ登攀したため、少し遅れて頭に到着した。その後、一年生が疲弊していたため、休息をとり、靴の履き替え、登攀具の整理を行い、懸垂開始。人数が多く、かなり時間がかかったが、基本的に吉澤と雄大コーチが先頭で支点作成や、一年生が通りやすいようにルート工作を行い、上村が回収する形で懸垂下降を行った。懸垂下降の時間のバラつきや、ロープの回収に時間がかかるため、雄大コーチ、吉澤、金子、日高が先に降りて長次郎谷の雪渓が切れている箇所のfix工作を行い、上村、御山、柴山がロープ回収の後、長次郎谷を下った。長次郎の出合からは、一年生の疲労が見えたものの、コースタイムより少し早いペースで歩き、テント場に到着した。

↑トップアウトした第1パーティーのメンバー

第3(大元L、岩波、田代)パーティー:10:00 Cフェース基部~10:42登攀開始~14:41 Cフェースの頭14:45~15:08懸垂下降開始~17:18 5,6のコル~20:09長次郎谷出合~21:47剱沢雪渓入渓点~23:08帰幕~24:00就寝

FIXのロープを回収した後に出発。第1,2パーティーの後を追うが田代がバテてペースが上がらず、先行隊と大きく離されてしまった。なんとか10時にCフェースの基部に着き登攀の準備をする。先行パーティー(早稲田隊ではない)を待って10時42分登攀開始。大元は問題なくリードできていた。田代は苦戦する場面はあったが、フォールすることなく登りきることができた。3ピッチ目でリミットの13時を回ったが、明日の天気が微妙であることや、田代のペースから考えどのみち日没前の帰幕は厳しいことから、トップアウトすることに決めた。14時40分にCフェースの頭に到着した。時間がないので少し休んで下山開始。懸垂点はスムーズに見つかり、25m、25m(真下ではなくやや左に降りる)、50mの3回懸垂を行った。3回目の懸垂時に大元が利用した枯れ木の支点は強度的にやや不安であったので少し上のハイマツ2本でとってある懸垂支点にかけ替えた。また田代が懸垂のセット時にATCの向きを複数回間違えており注意した。3人であったので比較的スムーズに懸垂下降は進み17時過ぎに5,6のコルまで下降した。そこからガレ場を慎重におり、長次郎谷に復帰した。時間的に熊の岩ビバークも考えられたが、田代の疲労度や標高に弱い体質を鑑みると剱沢で休ませたほうが良いこと、行きのFIX通過の地点までは日没前に到達できそうなことから、剱沢へ帰幕することを決断した。雪渓から右岸側に乗り移る地点にも先行隊がロープを設置してくれており、田代はロープを利用して下降した。ロープを回収した後、再び下山開始。日没ぎりぎりに行きのFIX通過した地点まで戻ることができた。懸垂下降で雪渓の直前まで降り、ロープとカムを回収し、ハーケンは回収できなかったので残置した。ここからヘッテンをつけて田代をフォローしながら長次郎谷を下る。20時に出合に到着し、剱沢雪渓を登り剱沢を目指した。21時47分に入渓点に到着し、剱沢には23時8分に到着した。先発隊の作ってくれたカレーを食べ24時に就寝した。

8月4日(日)停滞日 天気:晴れ時々小雨 気温:15℃

7:00起床~11:00カム講習13:00~18:00就寝

天気が微妙であることと、昨日が長時間行動になったことから、4日は停滞日とした。7時に起床し、11時から13時までは野営場周辺で雄大コーチにカムやナッツ、ハーケンなどを使った支点の取り方についてみっちり教えていただいた。田代は体調が悪そうでフラフラしていたので途中でテントに返した。その後は夕食まで近くのボルダーをしたり、プリンを作ったりして各自過ごした。明日も午後から雨の可能性があったので、出発時間を1時間早め、2時起きにすることにして16時に夕食を食べ18時に就寝した。田代は体調面と体力面の不安から剱沢に留守番させることにした。

↑支点の強度チェック中  

8月5日(月) 天気:晴れ時々曇り 気温:20℃
2:00起床(鈴木雄大コーチ下山)~2:56出発~3:55源次郎尾根取付~5:35 2650m付近のフェース~9:30源次郎尾根Ⅰ峰~10:10源次郎尾根Ⅱ峰~11:02懸垂下降終了~11:53剱岳山頂12:13~14:49剱沢小屋~15:05帰幕~20:00就寝

2時に起床し、2時56分に剱沢を出発4時前に源次郎尾根取付きに到着した。取付きで吉澤が左ひざの痛みを訴え、大事をとって剱沢に引き返すことになった。ハイマツの中の踏み跡をたどった先の2mほどの岩の乗越はお助けスリングを利用して通過した。ここでロープを張っている先行パーティーに追いついた。岩の先でもロープを張るようなので先に行かせてもらった。しばらく登ると、毎年ロープを張っているフェースに到着した。まず大元がリードする。去年はフォローで2度フォールしていたが今年は問題なくリードできており成長を感じた。残りはアッセンダーではなく、ロープにインクノットをしてカラビナでメインループに繋ぎ一人ずつ引き上げた。アッセンダーと違い直接ロープにつながっているのでフォールしたときにデイジーの長さだけ墜落距離が延びることもなく安全だと感じた。さらに登攀も効率的にできていたので来年以降も採用したい。

↑フェースをリードする大元  

フェースを超えた直後の3mほどの岩の乗越とその上のスラブ壁でもロープを張った。この2つはアッセンダーとマイクロトラクションでFIX通過した。9時半にⅠ峰の頂上に達し、Ⅱ峰の懸垂点には10時10分に到着した。懸垂下降は問題なく11時に懸垂下降を終了した。剱岳の山頂には12時前に到着した。少し休憩した後、別山尾根を注意しながら下降し、14時49分に剱沢小屋、15時過ぎに帰幕した。明日は吉澤をはじめ足を痛めている部員が複数人いたので、雄山を回らずまっすぐ室堂に下山することを決めた。17時に夕食を食べ、20時に就寝した。

↑あいにく曇りの剱岳山頂

8月6日(火) 天気:晴れ 気温:20℃
4:00起床~5:32出発~6:04別山乗越~6:58雷鳥沢7:10~7:48室堂=下山~12:30扇沢~13:01信濃大町駅~13:51松本駅~以降各自行動

4時に起床し、5時15分の出発を目指したが、15分ほど過ぎてしまった。まだ手際が悪いところが散見されるので改善するように伝える。別山乗越を登り6時過ぎに別山乗越、7時に雷鳥沢に到着した。室堂には7時48分に到着し、定着合宿を終了した。室堂で預けていた荷物を受け取り、ロープやクライミングシューズなど縦走に不要な装備はホテル立山から送り返した。室堂からは黒部立山アルペンルートを使って、黒部湖を経由し、扇沢に降りる。扇沢からはバスで信濃大町、信濃大町からは大糸線で松本に向かった。松本で風呂に入った後は各自自由行動とし、駅やホテルなどで夜を過ごした。

↑黒四ダムの上にて

8月7日(水)休養日 天気:晴れ

各自休養

休養日は各自洗濯や観光などをして過ごす。縦走合宿のレーションや食料パックの準備はできていたので休養日に全体で集合はしなかった。生鮮食品の買い出しは冷蔵庫のあるホテル組が行った。また、ガスは定着合宿の残りと東京から持って行った10本で足りたので新たに買い出しは行わなかった。

・縦走合宿

8月8日(木) 天気:晴れ 気温:18℃

本隊:7:20松本駅集合~7:35松本駅出発~9:39甲府駅~12:05広河原12:30~15:08白根御池小屋TS

7時35分の列車に乗りたかったので7時20分に松本駅に集合した。離脱した田代の荷物は全員に分配した。御山が寝坊により集合時間に来なかったので、岩波を残して先に出発する。
12時5分にバスで広河原に到着した。12時半に各自、水の準備やパッキングを済ませ出発した。バス停を出て5分ほど道路を歩き、橋を渡ってから登山道に入った。急登を約1時間登り10分間の休憩をとった。休憩後、13時43分に出発し急登を登った。急登が終わり、トラバースとなった時点で休憩から約50分経っていた。この日の終着地である白根御池まで残り20分ほどで着きそうだと地図から読み取り、休憩なしで進んだ。15時8分に白根御池に到着し、テントの設営を行なった。後発隊からの到着予定時刻を受け、後発隊到着後すぐに夕食を取れるように、16時10分から食事の準備を始めた。(文責:大元)

↑去年もこの表情をしていた…  

岩波、御山:12:05甲府駅~13:58広河原14:22~16:48白根御池小屋TS~19:00就寝

御山と合流し、12時過ぎのバスで広河原に向かった。14時前に広河原に到着し、14時22分に出発した。広河原の入山時は岩波33㎏、御山28kgであった。途中で御山がバテてきたので3kg分の荷物を抜いた。2回ほど休憩をはさんで17時前に白根御池小屋に到着し本隊と合流した。やや時間が遅かったので明日は3時起きとすることにして、夕食を食べ19時に就寝した。

8月9日(金) 天気:晴れのち雨 気温:19℃

3:00起床~4:23出発~7:14北岳肩の小屋~7:52北岳8:09~9:04北岳山荘9:15~9:53中白根山~11:15間ノ岳11:28~12:04三峰山~13:16井川越~13:22熊ノ平小屋TS~18:00就寝

3時に起床し、4時23分に白根御池小屋を出発した。まだ目標の1時間15分を上回っており、調理の時間を短くするよう指導する。大元を先頭に北岳を目指す。草すべり周辺で、明らかな登山道があるのにガレ場方面に入っていくなど数回登山道を間違えることがあったので、岩に印がついていないかなど、登山道から外れていないか常に気を配るよう指導する。7時14分に北岳肩の小屋、8時前に北岳山頂に到着した。

↑北岳山頂。とてもいい天気  

しばし休憩した後、下山を開始し、1時間ほどで北岳山荘に到着。ここからの登りはコースタイムがかなり辛いのに加え、北岳までの登りの疲労もあってか、コースタイムより時間がかかってしまった。それでも、中白根山を越え11時過ぎに間ノ岳に到着した。間ノ岳からは小さなアップダウンの繰り返しで、1年生は辛そうであった。12時過ぎにテン場までの最後のピークである三伏山を越えて熊ノ平に向け標高を下げる。熊ノ平小屋には14時22分に到着した。その後幕営をして、16時に夕食を食べ、19時に就寝した。

↑間ノ岳山頂。曇ってきた  

8月10日(土) 天気:晴れのち雨 気温:19℃
2:00起床~3:26出発~4:05安倍荒倉岳~5:14新蛇抜山~6:22北荒川岳~8:43塩見岳9:00~10:11塩見小屋~10:24塩見新道分岐~12:06本合山12:15~13:06三伏山~13:15三伏峠~13:17三伏峠小屋TS~18:00就寝

3時に起床し、4時26分に熊ノ平小屋を出発した。エスパースは目標時間までに間に合っていたが、スタードームはまた、時間に遅れてしまった。やはりすべての動作1つ1つが遅く感じるので改善を促す。熊ノ平からは途中に安倍荒倉岳、新蛇抜山、北荒川岳などの小ピークをはさみ、小さなアップダウンの繰り返しであった。塩見岳直下は300m上げの登り。1年生は苦しそうであったが何とか登り切り、9時前に塩見岳に到着。塩見岳から1時間ほど下った塩見小屋からは、またトラバースと小さなアップダウンの繰り返しであった。本合山、三伏山を経て13時17分に三伏峠小屋に到着した。テン場はボーイスカウトの団体が来ていることもあって、ほぼ満員であったが、何とか場所を見つけて幕営する。水場は往復20~30分ほどかかった。明後日の天気予報が午後から雷雨であったため、明日のうちに可能であれば悪沢岳のピストンを済ませることとし、16時に夕食を食べ、18時に就寝した。

↑塩見岳山頂。相変わらずいい天気。

8月11日(日) 天気:霧のち晴れ 気温:17℃
2:00起床~3:12出発~4:06烏帽子岳~5:01前小河内岳~5:47小河内岳~7:42板谷岳~8:37高山裏避難小屋~11:59荒川前岳12:12~12:25分岐出発~12:33荒川中岳~12:35中岳避難小屋~13:22荒川東岳(悪沢岳)13:46~14:33中岳避難小屋~14:36荒川中岳~14:44分岐14:52~15:44荒川小屋TS~19:00就寝

2時に起床し、3時12分に出発。今日は時間に間に合わせることができた。朝方は霧で視界が悪かったので足元に注意しながら、1つ1つ山を登っていく。相変わらずアップダウンの繰り返しで南アルプスらしさを感じる。高山裏避難小屋には8時半ごろに到着した。ここから前岳まで標高差500mほどのガレ場の登り。ヤマップでは破線の道であり要注意箇所だとマークしていた。しかし踏み跡はしっかりあり、通過する登山者も多数いた。ガレ場をつづらで登っていく。ガレ場を登り終えると、今度はガレ場のトラバース。登山道が崩落しているとの情報があったが、大規模なものではなく該当箇所は難なく通過できた。しかし、前岳方面から見ると我々が通ってきた道の1段上はそれなりに崩落していた。(そこには立ち入り禁止の看板があった。) 前岳で記念撮影をし、前岳直下の分岐でしばし休憩したのち、悪沢岳の往復に向かう。時刻は12時過ぎだったが、今日往復したほうが、荒川小屋から分岐までの往復2時間を節約でき、午後から天気の悪い予報である明日の行動時間を短くできることから今日中の往復を決断した。岩波のサブザックに水とレーションを詰めて、ザックは分岐にまとめてデポして、空荷で登る。コースタイムよりだいぶ速い1時間で悪沢岳に到着した。記念撮影をしたのち下山を開始し1時間ほどでデポ地点に戻ってきた。休憩の後、全装をもって荒川小屋に向けて下る。1時間ほどで荒川小屋に到着した。荒川小屋のテン場も大混雑であったが、何とか場所を見つけて幕営する。幕営後すぐに夕食を作り、19時に就寝した。

↑悪沢岳山頂。集合写真の中でベストじゃないか。

8月12日(月) 天気:晴れのち雨 気温:18℃
3:00起床~4:00出発~4:54大聖寺平~6:09小赤石岳~6:40赤石岳6:55~7:00赤石岳避難小屋~7:45大斜面のコル~8:25百間平~9:02百間洞露営地~20:00就寝

今日の行動時間が5時間弱であり、昨日長時間行動であったことから、起床時間を1時間遅めて3時起きとした。準備はスムーズに進み4時には出発することができた。小赤石岳の肩手前で1度休憩をはさみそこから赤石岳までは休憩なしで歩く。6時40分に赤石岳に到着した。記念撮影を済ませた後、下山開始。途中で1回休憩をはさみ、9時には百間洞露営地に到着した。時間が早い事もあり幕営地は空いていたが、場所指定制なので勝手に幕営はできない。幕営完了後は夕食まで各自自由に過ごした。15時ごろから雨が降ってきた。夕食後、御山の雨具上下がないことに気づく。何度も探させ、他の部員の荷物も捜索したが、見当たらなかった。上級生で話し合い、監督とも相談した結果、合宿続行は困難という結論になり、赤石岳東尾根経由で椹島にエスケープすることを決定し、1年生にもそのことを伝えた。20時に就寝。

↑赤石岳と富士山と早稲田大学山岳部  

8月13日(火) 天気:晴れのち雨 気温:14℃
4:00起床~5:14出発~6:00百間平~7:39赤石岳8:14~9:41富士見平~10:06赤石小屋10:22~13:40椹島ロッジTS~19:00就寝

朝方は雨予報であったので、夜明け前は避けて4時に起床した。5時14分に出発し、少なくとも赤石小屋、状況がよければ椹島ロッジを目指すことにした。赤石岳方面へ昨日来た道を引き返す。赤石岳には7時半過ぎに到着し、電波が入ったので気象予報を見て、昼過ぎまでは雨はなさそうなことを確認した。赤石岳からやや悪い下りを注意しながら標高を下げる。赤石小屋には10時ごろに到着した。小屋から椹島までコースタイムで3時間半程度であり14時ごろには到着できそうなこと、道は樹林帯であり万一雨が降ってきても多少は凌げそうなことから、今日中に椹島まで下山することにした。樹林帯を下り幸い雨に降られることなく、14時に椹島に到着した。幕営後すぐに雨が降ってきた。夕食後ロッジで風呂に入り、清潔になってから19時に就寝した。

↑椹島ロッジ。この後すぐ雨が降ってきた。

8月14日(水) 天気:晴れ 気温:16℃

2:00起床~3:14出発~5:45聖平登山口~6:25青薙山登山口~6:48茶臼岳登山口(畑薙大吊橋)7:45~8:25沼平ゲート=下山

コースタイムは5時間半であったが、余裕をもって2時に起床し3時14分に出発した。沼平ゲートを目指して舗装された道をひたすら歩く。2時間ほど歩いた場所で休憩をし、休憩後再び沼平に向けて歩く。沼平ゲートまで40分の畑薙大吊橋で1時間ほど時間をつぶし、8時25分に沼平ゲートに到着した。前日に10時にタクシーを沼平ゲートまで呼んでいたので、支度をしてタクシーを待つ。ジャンボタクシー1台で8人乗ることができ、2時間半ほどで静岡駅に到着した。料金は3万7千円ほどであった。静岡で高田OBから頂いたお金で海鮮丼を食べ、各自帰京した。

↑吊橋と柴山  

5.総括

定着合宿では、鈴木雄大コーチにも来ていただき、例年通りのCフェースと源次郎尾根のほかに3年生はチンネ左稜線登攀に成功するなど、例年以上の成果を上げることができた。一方、縦走合宿は御山の雨具紛失が原因で途中敗退という悔やまれる結果になってしまった。

今年の夏山合宿は色々「想定外」の事が多く起こった合宿であったと思う。合宿で敗退したのは、3年前の新雪期合宿以来で、上級生でも初めての経験だと思う。1人の1つのミスからこれまで順調に進んでいた合宿も全てが崩れてしまうという事を改めて自覚し、これを教訓に、自分自身を引き締め、1年生のケアをより細心の注意を払って行う必要がある。

今年は1年生が5人も入部した一方で、上級生は4人しかおらず、学年のバランスが良いとは言えない。少ない上級生で如何に1年生の面倒を見るかということが新人合宿からの課題だ。今まで上級生主体の少人数であったからからこそ例年通りで問題なく運営できていたことが、今ではそれでは成り立たなくなっている。上級生は自分が当たり前だと思っている事を疑い、あらゆる事態を想定し、よりきめ細かな指示を出す必要を感じた。

1年生も一人のミスが隊全体に影響を及ぼしてしまう事をしっかり理解し、他人の事だと思わず、自分自身の行動や個人装備の管理などをしっかり行ってほしい。一方で新人合宿の時より体力・技術両面で成長が見られ、苦しみながらも合宿の行程を1つ1つこなしており大変頼もしく感じた。また、同期間の仲も大変良いのでこれから先も力を合わせて頑張ってほしい。

大元は去年フォールしていた源次郎尾根のフェースのリードを危なげなくこなしたほか、別山岩場やCフェースでのリードをみて去年から1番多くの成長を感じた。この後フランス留学にってしまうが、帰ってきてからの活躍にも期待する。

夏山合宿の経験と教訓を生かし、残りの無雪期にできる限り色々な山に行き成長し、体力と技術両面で一皮も二皮もむけて積雪期シーズンに入って行けるように、全員で力を合わせて頑張って行こう。(文責:岩波)