2022年度春山合宿

1.日程

 2023年3月16日(木)~3月20日(月)

2.対象

 南アルプス 仙丈ヶ岳 地蔵尾根

3.メンバー

 2年 岩波 C.L.(装備)、1年 上村(食料)、吉澤(医療・気象)

4.概要

3月16日(木) 天気:曇りのち小雨 気温:不明

13:00部室集合~14:30部室出発~14:44早稲田駅~15:35バスタ新宿出発~19:00伊那バスターミナル~20:03 JRバス高遠駅~ (タクシー) ~20:40柏木登山口~22:30就寝

当初は戸台登山口から入山し北沢峠をベースにして仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳に登頂する計画だった。3月13日に出発したが、仙流荘~戸台登山口の林道通行止めにより、実施することがでず、14日に東京に引き返すというアクシデントに見舞われた。そこで、対象を地蔵尾根に変更し16日出発、最大21日までの計画を立てた。準備は13日にほとんど終わっていたので、16日当日にしたことはテレモス作りと計画変更による若干の装備の変更のみであった。計画時点では、高遠駅で止まり、次の日の朝に柏木登山口に向かうつもりであったが、夜に小雨が降りそうだったので夜のうちに柏木登山口まで行きそこでテントを出すことにした。21時前に柏木登山口に到着したが、すでに雨がぱらついていた。すぐにテントを設営し、各自持ってきた夕食を食べ、22時半に就寝した。

3月17日(金) 天気:晴れ 気温:10℃ (柏木登山口)

6:30起床~7:57出発~9:54林道分岐~12:48松峰小屋分岐~12:56松峰小屋~13:20松峰小屋分岐出発~13:48地蔵岳手前2180mTS~19:00就寝

6時半に起床し各自持ってきた朝食を食べ、着替えなどをデポし、8時前に出発。始めの1時間は雪が全くなく、1923mピークの手前から少しずつ雪が出てくる。1923mピークと松峰のトラバースでは雪はほぼ解けていたが、凍結している部分が断続的にあり、注意しながら登る。トラバースが終わり、松峰小屋手前の2087mピークの登りから本格的に積雪があったが、トレースはあった。2087mピークからの下りの道が凍結していたため2087mピークでアイゼンを装着する。13時前に松峰小屋分岐の道標前に到着した。ここで荷物を置き空荷で松峰小屋まで偵察に行く。地図では松峰小屋は登山道のすぐそばにあることになっていたが、実際は登山道から5分ほど下ったところにあった。周辺は樹林帯で見つけづらかった。冬季小屋というよりは避難小屋であり、周辺に幕営適地もなく登山道までのやや離れていたので、計画通り、地蔵岳手前で幕営することを決めた。等高線の間隔が広まっている2180m付近に目当てをつけていたが、その付近の登山道の両側にそれぞれテント1張りが張れる場所を見つけたので、そこを幕営地とした。登山道にはところどころに赤テープなどの目印があり、基本的にはそれをたどっていったが、不明確な場所や進む方向とは違う方向にテープが付いている場所は持参した赤布をつけた。幕営場所までは合計8枚の赤布を使用した。テント設営後、ラジオの気象通報から作成した天気図をとヤマテンの情報から明日は南岸低気圧接近で悪天であると分かった。しかし天候の崩れはそれほど大きくない予想であったので、視界が確保でき行動可能なら明日仙丈ヶ岳にアタックすることとし、夕食のカレーを食べ、19時に就寝した。20時ごろには降雪が始まった。

幕営地。整地頑張った。

3月18日(土) 天気:雪 気温:-5℃

4:00起床~(終日停滞)~17:00夕食~19:30就寝

4時に起床し、アタックの準備をする。予想より降雪の始まりが早く、雪で視界が十分に確保できない状況で、道迷いの危険性のある尾根を登るのは危険と判断し、18日は停滞とした。朝食後はテントラッセルをして、その後は各自17時の夕食まで時間をつぶした。吉澤はこの間に太宰治作『人間失格』を読破したらしい。岩波はハーマン・メルヴィル作の『白鯨』を持って行ったが1ページも進まなかった。12時と17時にもテントラッセルを行った。雪は6時ごろいったん弱まったが、その後も降り続き18時ごろに止んだ。19時半に就寝。

3月19日(日) 天気:晴れ 気温:-11℃

4:00起床~5:18出発~10:33 2736mピーク手前~12:57仙丈ヶ岳山頂 13:08~14:50 2422mピーク手前~17:05帰幕~20:30就寝

4時に起床。雪は降っていなかった。炊事やパッキングは順調だったものの、初めてのワカンの装着でてこずって5時出発に間に合うことができなかった。1年生のワカンが緩んでつけなおすことも複数回あり時間をロスしたので、下界で練習しておくべきだった。前日の積雪でトレースは完全に消えており所々のテープと地図を頼りに進んだ。ラッセルは基本的に膝下程度であった。地蔵岳と丸山は、トラバースする斜面は樹林帯であり、雪崩の危険が少ないと判断し夏道と同じくトラバースした。前記2箇所以外は夏道通り尾根上を進んだ。2736mピークの直下までは登り一辺倒というよりはアップダウンであり、比較的傾斜も緩く、順調に進んだ。2736mピークの手前で木がなくなり、ハイマツ帯になった。雪崩の危険があったので沢に入る夏道を逸れ、計画通り尾根を直登した。2736mピークまでが一番斜度があり膝上ラッセルであった。ここからは全体的に斜度が増し北側に雪庇も見られた。斜度が急になったことや雪の下にあるハイマツが引っ掛かり思うように進まなかった。しばらくすると開けた斜面が現れ、仙丈ヶ岳山頂を確認できた。ここを登りきると仙丈沢カールの縁を進行方向右側の雪庇に気を付けながら回り込むように山頂を目指す。この時点で大体11時半であった。もうすぐ山頂に到着すると思い休憩をしないでそのまま山頂目指して進む。このあたりから1年生2人のペースが落ちてきたので、岩波が先行しトレースをつけ、その後に1年生をつかせる。ここからは、すぐ近くに見えているのに中々つかない山頂とタイムリミットとの戦いであった。結局タイムリミットぎりぎりの12時57分に仙丈ヶ岳山頂に到着した。仙丈ヶ岳山頂は10分ほど休憩し、下山開始。2736mピーク下の樹林帯までは斜度があり、滑落すると谷に落ちる危険性があったので、一部露出しているハイマツに足を引っかけないように気を付けながら慎重に下山する。樹林帯に入った後は赤布を回収しつつテント目指して下山。途中2422mピーク手前と地蔵岳手前で2回休憩をした。地蔵岳を下っているときに登ってくる2、3パーティーとすれ違う。日没前の17時過ぎに2180mの幕営地に戻ることができた。帰幕後急いで炊事をし、夕食をたべて、20時半に就寝。

2736mピーク手前。一番大変だった…
苦労の末の仙丈ヶ岳山頂。

3月20日(月) 天気:晴れ 気温:-6℃

4:30起床~6:27出発~8:45林道分岐~9:47柏木登山口=下山

4時半に起床。テント撤収の際ポールの継ぎ目同士とポールとテントがガチガチに凍っており、テントをたたむのに苦労した。6時半に下山開始。下山はワカンではなくアイゼンを装着した。下山の道は18日の降雪で行きは完全に夏道であったところも雪で覆われていた。しかし逆に行きに凍結していた場所も雪で覆われており歩きやすくなった場所もあった。19日~20日に入山した登山者がトレースをつけていたが、複数ついており、逆にわかりづらくなっている部分もあったので、行きにつけた赤布とテープを頼りに下山。行きにつけた赤布はすべて回収した。登山口までコースタイム1時間強の林道分岐で休憩し、タクシーを配車した。ここからは夏道だったのでアイゼンを外した。10時前には柏木登山口に到着した。登山口からタクシーで高遠駅まで移動し、高遠駅近くの温泉に入る予定だったが、営業時間外であったので、断念してそのままJRバスで伊那バスターミナルへ。伊那バスターミナルで解散し、高速バスで帰京し春山合宿を終了した。

5.総括

1年の総まとめである春山合宿で目標としていた仙丈ヶ岳に登頂することができた。さらに今年初のラッセルをして道を切り開きながら登る経験ができた。今回は水場がなかったので水作りをし、テントラッセルをするなどこれぞ積雪期の登山という合宿であった。1年生2人は今回もよく頑張ってくれた。体力はもちろん炊事やパッキングの手際はだいぶ良くなったと思う。しかし、今回はアイゼンや、ワカンの着脱や付けなおしで時間をロスしている場面が多くあった。また、テント内で個装を探している場面もあったので、自分のものはしっかり管理しよう。この春山合宿で山岳部の1年の合宿はすべて終了した。次からは新たに1年生が入部し、新体制になる。来年度もまた気を引き締めて頑張っていこう。