2020年度 新雪期合宿
1.対象:雷鳥沢、雄山、奥大日岳
2.日程:2020年11月24日~11月27日
3.参加メンバー:小野(4年CL)、浅川(5年)、真道(3年)、田代(3年)、小池(2年)、田中(2年)、辻野(1年)
4.概要:
11月23日
19:00 部室集合〜22:45 東京駅バス乗車
19時に部室に集合し、団装の振り分けを行う。全員で食事をとった後、東京駅へと移動しバスに乗り込む。
11月24日
気温:-1℃ 天気:快晴 前日の積雪:0cm
5:30富山駅着〜10:00室堂着〜10:30室堂発〜11:15雷鳥沢キャンプ場着〜12:00ビーコン捜索訓練〜14:20雪上歩行訓練〜15:20訓練終了〜15:35帰幕
5:30に定刻通りに富山駅に到着し、電鉄富山、ロープウェーを乗り継いで室堂に向かう。途中、立山駅のコインロッカーに不要な荷物をデポする。立山駅から室堂に移動するにつれて雪が見えてきたが、予想より積雪が少なく山肌には岩が露出していた。雷鳥沢キャンプ場は11月24日の宿泊を最後に閉鎖となるため、翌日室堂平に再移動する必要があった。また、雷鳥沢キャンプ場では排泄物が厳しく管理されており、全てバスターミナルへと持ち帰る必要があった。雷鳥沢キャンプ場に設営後、訓練地Aへと向かい、ビーコン捜索訓練を実施する。複数埋没の状況も含め3回実施する。しかし、積雪は最大で30cmほどであり、実際の掘り出しを経験することはできなかった。その後、訓練地Bに移動し、雪上歩行訓練を実施する。2年生が1年辻野に付きながら、訓練を行う。その他の上級生は下級生の訓練と同様の動きで、雪上歩行を確認した。約1時間の歩行訓練の後、帰幕。テント外にてミーティングを行い、翌日の行動内容を確認した。
11月25日
気温:-1℃ 天気:晴れ 前日の積雪:0cm
上級生A隊
4:30起床~6:00TS発~6:20室堂乗越~8:00奥大日岳~10:30TS着~11:00訓練隊合流
訓練隊
4:30起床〜6:20訓練隊発〜7:20アイゼン歩行〜9:50歩行訓練終了〜10:00滑落停止〜11:00合流・確保3種〜11:30支点構築〜12:00fix通過〜12:30懸垂下降〜12:30浅川下山〜13:00訓練終了〜13:18帰幕・撤収〜14:00雷鳥沢発〜15:00室堂平着〜15:40設営終了
撤収を伴わないが雪山での初日のため、起床後1時間30分で準備を行うこととした。しかし、1時間15分程で余裕を持って準備が完了した。
上級生A隊(浅川、真道、小池)
起床後各テントで朝食を取り、辺りが薄明るくなってきた頃テントサイトを出発。天候は良好でひとまず目指すべき室堂乗越もよく見える。乗越までの登りでは、2日前の積雪に伴う雪崩を懸念していたが、杞憂のようでラッセルもなく良く締まった斜面をハイペースで登高する。雪崩どころかブッシュや一部夏道も露出しているほどであった。乗越以降は剱を横目に単調な稜線歩きが続く。雪庇の張り出しもなく、風もさほど強くない。その後ロープを出すこともなく、夏道のコースタイム以下で山頂に到着。技術体力的には少々物足りないが、今回のような久々の雪山登山の足慣らしや1年生の実地訓練という意味では手頃な山だろう。もちろん気象要因が良好な場合に限られるが。登頂後は時間もあるため、下山途中で真道と小池を組ませfix訓練を行う。実践的な訓練のつもりであったが、傾斜も緩く、システムの理解程度に留まった。訓練後は登ってきた道を忠実にテントまで戻り、その後訓練隊に合流した。
訓練隊(小野、田代、田中、辻野)
訓練隊は日の出を待ち出発。訓練地Bに向かう。前日行ったツボ足での雪上歩行を再度1時間ほど行い、アイゼンを装着した雪上歩行へと移行した。休憩の後、訓練地Cに移動し雪上の歩行技術を総合的に組み合わせながら、尾根の登降とトラバースを行った。辻野の歩行速度が遅く時間がかかったが、正確性には問題がなかった。その後、訓練地Bに再度移動し滑落停止に移った。斜面は北側で、日が当たるのが遅く、滑落停止訓練には最適であった。滑落停止訓練の流れから、滑落者を停止する確保3種、訓練に必要な支点構築へと移行した。上級生A隊とこの時点で合流した。
訓練地Bは、歩行訓練には適していたものの積雪量が少なく、歩行訓練でかなり荒らされていたため、スノーバーを埋める積雪量がある訓練地Dへと移動した。訓練地Dも場所によってはスノーバーを埋める積雪がなく、プローブで積雪深を探りながらの訓練となった。積雪深が少なくても設置可能な横埋めでセットしたfixで1年生がfix通過訓練を行う傍ら、上級生はボラードを使った懸垂支点のセットを学んだ。浅川はバスの時刻に間に合わせるため、一足先に下山を開始。最後は上級生が設置したボラードを実際に使い、辻野が懸垂を行った。訓練を終了し帰幕。雷鳥沢キャンプ場は24日夜をもって閉鎖とるため、40分で撤収を完了し、室堂平のキャンプ指定地である幕営地Bに移動する。ミーティングと炊事を行い就寝。
11月26日
気温:-2℃ 天気:晴れ 前日の積雪:0cm
上級生B隊
4:45起床〜6:00出発〜8:40山頂〜9:00出発〜9:40fix〜10:30fix終了〜12:00合流
訓練隊
5:00起床〜6:40ワカン着脱〜7:00出発〜7:45雪訓場所到着〜8:00キックステップ〜8:40アイゼン歩行〜9:3スタカット訓練〜11:3懸垂下降〜12:30下山開始〜13:10搬送訓練〜14:20 雪壁作成〜15:00行動終了
前日の行動で朝の準備時間が余ったため、準備時間を1時間15分とする。
上級生B隊(小野、田代、田中)
6時に奥大日岳に向けて出発。前日に降雪はなくアイゼンがしっかりと効く雪面であった。雷鳥沢ヒュッテから新室堂乗越に向けて斜面をショートカットし、先行者のトレースに乗る。そのままトレースを辿り、奥大日岳の山頂に到着。山頂で登山者1名と出会う。休憩の後下山を開始し、田中と田代で途中のトラバース斜面に2回計4ピッチのfixを張る。尾根上の雪が豊富な箇所を選んだつもりであったが、雪が少なくスノーバーを埋めることができない場所もあった。
訓練隊(真道、小池、辻野)
朝食を終え、奥大日岳アタック隊の出発を見送った後、15分ほど明るくなるのを待ってテントの外に出た。ワカンの装着は冬山合宿ぶりであったので、この機会に使用方法を再確認する。着脱方法や使用上の注意点等を教え、辻野も実際に装着した上で理解し問題がないようなので、ワカンを外しアイゼンに付け替えて訓練場所へ出発した。雷鳥平から訓練場所までは、時間短縮とトレーニングの意味を含めて辻野にスピードアップを促すが、上りは不得意らしくなかなかスピードが上がらない。対して小池は快調に歩みを進め、辻野にも活を入れていた。訓練場所Bに到着した。雪は程よくしまっており、訓練には最適な状態だ。40分程の練習後5分の小休止を挟みアイゼン歩行訓練に移行する。訓練開始から50分程経過したところで、明日のアタックに問題のない歩行技術を習得しただろうという判断で、次のスタカット訓練の準備をする。雪量と地形がスタカットには適さなかったので訓練地Dに移動した。実践的なタイムトライアルを行う前にスタカットビレイの流れを確認した。スタカットのシステム自体は普段部室の前で行なっているので、支点構築やランナーの取り方、ピッチの繋げ方、合図等の実践的な部分を中心に確認する。辻野は懸垂下降の技術はよく理解していてスムーズに下降していた。2ピッチ目の懸垂下降を終えたところで丁度奥大日岳隊が帰ってきたので、訓練を終えて合流した。
テント場にて、ツェルトを使った搬送要領の確認と、短距離の搬送を経験する。パーティで行動不能者が発生した際にかかる隊への負担を改めて実感する。訓練終了後、残置の雪ブロックなどを利用し、翌日の荒天に備えテント周りに雪壁を設置した。翌日のショートランに備えて、訓練を1時間早く切り上げ終了。ミーティングと炊事を行い就寝。
11月27日
気温:-4℃ 天気:晴れ 前日の積雪:0cm
4:45起床〜6:00出発〜8:40真砂岳〜9:45雄山山頂〜11:00帰幕〜12:10搬送訓練終了〜12:50撤収〜13:30バス乗車〜14:40立山駅=解散
準備を完了し、本日の危険地帯の再確認を全員で行う。この日も、前日に積雪はなく訓練3日間と同様のアイゼンがよく効くコンディションであった。真砂岳へ向けて、田中、辻野、小池、真道、小野の順で訓練地Bの東側の尾根上を夏道に沿って登る。途中斜度がきつくなり、より雪が締まってきた。小池が辻野のフォローに入り、上手く登っていた。真砂岳の稜線に出る前に、ハードシェルの着用を指示し、稜線上の風に備える。稜線では思ったより風が強く、オーバー手袋を付けても寒さを感じる冬の風であった。真砂岳の山頂に向けて北側に少し戻り、写真撮影を行い、すぐに雄山に向けて移動を開始した。途中ケルンの風下で休憩を取り、テルモスのお茶で一息つく。富士ノ折立への上りではところどころ岩が露出するミックスの雪面となり、斜度もより急になる。ここでも小池、田中が中心となり辻野に指示を出し、よくフォローを行えていたと感じた。富士ノ折立からは約20分で雄山の山頂に到着した。全員で記念撮影を行い、雄山神社にて長めの休憩を取った。一ノ越経由で下山し、雄山山頂から1時間で帰幕することができた。帰幕後、翌日のバスの運行予定を聞きに室堂バスターミナルに向かったところ、現在では未定であるが、夜の積雪が多ければ翌日終日欠行となる可能性もあるとのことで、持参した食料の観点からも下山を決定する。13:30のバスまで翌日行う予定であった搬送訓練を再度行い、撤収し下山した。
総括
久しぶり、かつ事前に多くの変更が重なった合宿であり、変更点の共有などが不完全なままになっている箇所も多く見受けられた。しかしながら、直前に計画を延期したことで快晴のもと訓練を行うことができ、4日間という短い期間ながら密度の濃い訓練ができたと感じる。1年生の辻野は当初体力面において不安があったものの粘り強く頑張り、最終日のショートランにおいては問題なく行動することができていた。しかし、訓練合宿は1年生だけが技術を習得する場ではない。上級生としては1年生に指導することで、自らの技術を再確認する場となり、隊としてのコミュニケーション・役割分担を学ぶための場である。今回の合宿では入山当初その意識が少し薄かったように感じる。この点は、4日間行動をともにすることで、自らが考え積極的に動く場面が見られ、チーム力という点で成長が見られた。
なぜこの訓練合宿が必要なのか、なぜこの訓練を行う必要があるのか、何をこの合宿から学ぶのかといったことをそれぞれの役割にあてはめ、参加前から自覚することで、より効率のよい合宿になるのではないだろうか。コロナによる足踏みを経て残された4ヶ月という短い期間を最大限に活用するため、確実な目的意識を持ちチームとして成長していきたい。
文責 小野
Leave a Reply