9/10-9/14 チンネ左稜線 クライミング山行

1.対象:剱岳 チンネ左稜線

2.期間:2019/9/10〜9/14

3.参加メンバー:中島(5年)、小野(3年)、真道(2年)

4.概要:

9/11 6時富山駅着 富山駅停滞
9/12 3時起床〜4時発〜8時30分早月小屋着
9/13 4時起床〜5時出発〜8時剣岳山頂〜11時50分三の窓
9/14 4時30分起床〜5時30分出発〜5時45分取り付き〜13時15分頂上〜15時30分テント着

今回のパーティーは5年、3年、2年というメンバー構成で臨んだ。日和田や三つ峠といった関東近郊の岩場で行ってきたトレーニングや、夏山合宿で登ったCフェースなど、今シーズンの登攀の集大成としたい山行であった。

9/10

部室に集合しいつものごとく準備を整える。3名という少人数パーティーのため、テントはエスパースが1張。普段の合宿に比べ装備が軽く、足取りも軽い。カムは#0.3, 0.5, 0.75, 1, 2, 3を1セットとしこれを持参した。ヌンチャクなどは8本また、アルパインヌンチャク作成用にカラビナ、スリングを多めに持参した。 22時の夜行バスで富山に向かう。天気予報を確認したがどうやらチンネ登攀を予定している9/12の天気が思わしくない。どうしたものかと相談しながらバスに揺られる。

9/11 
6時富山駅着 富山駅停滞

富山駅に到着後、9/12の天気が崩れるという予報のため、入山を1日遅らせることを決定する。1日富山駅周辺で時間をつぶす。昼食は富山駅構内のラーメン屋で富山ブラックラーメンを食べた。が、どうにも辛く水をもらいに何度も席を立つことになってしまった。下山後なら美味しくいただけるかもしれないが、入山前の体には塩気が強すぎたらしい。その日のうちに馬場島まで移動し馬場島キャンプ場にて就寝。

9/12
3時起床〜4時発〜8時30分早月小屋着

朝3時に起床し出発の準備を整える。昨夜は蚊が多く、寝付けなかったのか皆寝不足の顔をしている。蚊の多いキャンプ場から逃げるよう、足早に早月尾根を登る。3大急登の一つに数えられる尾根ではあるが周りの景色が見えないとどうも味気ない。標高を示すプレートが200mごとに設置されており、現在の標高が確認できるため非常にありがたい。これによりどうにかモチベーションを保ちながら登り切ることが出来た。8時30分には早月小屋に到着し幕営。到着時点でテントは我々のもののみであり、10時頃もう1張テントが増えた。9時ごろから予報通り雨が降り始めその後1日中降り続いた。早月小屋には水場がなくこの雨を溜めることができたらと思案したが、どうにも難しかったため小屋にて水を購入する。2リットルで1000円という高級品であり、図らずも水のありがたさを実感する結果となってしまった。

9/13
4時起床〜5時出発〜8時剣岳山頂〜11時50分三の窓

4時に起床し、5時に出発する。まだ周りは薄暗かったが 2600mを過ぎ岩場が現れる頃には日があがっていた。山頂を過ぎ、剣岳北部へ向かう。踏み跡がついており迷うことはないだろうと思っていたが、踏み跡が複数に分かれルートファインディングに苦労する。改めて整備された一般ルートとの違いを認識する。

剣岳山頂から長次郎のコルへの下り

長次郎の頭を右から巻き、池の谷ガリーを下る。池の谷ガリーは非常に足場が悪く、注意していても度々落石を落としてしまう。踏み跡は左岸側に顕著であったため上部は左岸側踏み跡を辿るが、下部では右岸側の方が足元の岩が大きく安定しているように見えたため右岸側を進む。

池の谷ガリーを下る

三の窓へはガリーの下部からトラバースするルートがあるため見逃さないように進む。三の窓に到着すると快適な平地が目に入る。コルにほど近い上部で幕営を終え水の確保に向かった。9月も中旬に差し掛かり、雪渓がなくなっていることを心配していたが上部までしっかりと雪が残っていた。水は雪渓の切れ目の岩場から湧いていた。テント に戻り昼寝や読書をしながら思い思いに時間を過ごす。夕食を終え、寝る準備を整えながらふと外を覗くと1面の雲海が広がっていた。

地球の神秘を感じる

9/14
4時30分起床〜5時30分出発〜5時45分取り付き〜13時15分頂上〜15時30分テント着

 取り付きは幕営地から近く最高の場所にテントを張ることができたと改めて実感する。今回登る左稜線は合計13ピッチのルートであるため、心して取り組む。平日ということもあってか幸い我々の他にパーティーはいなかった。中島のリードで登り始める。1ピッチ目はクラック沿いに岩峰を右から巻く。3ピッチ目でリッジに上がるのだが、この時点で高度感は抜群。後立山の山々はもちろん、遠く富士山まで見渡すことができた。4〜5ピッチは比較的短いためピッチをつなげて登る。

8ピッチ目をリードする中島

逆に8ピッチ目からはピナクルをが林立するリッジのため、ロープの流れを考慮しピッチを途中で切る。9ピッチ目を終え、核心の鼻を下から臨む。何よりこの高度感の中登らなければいけないということがプレッシャーとなり足がすくむ。リードを小野に交代し核心部に突入する。ハングは右から巻き、上部に立ち込む。足場はしっかりしており、ガバも適所にある。しかし高度感のため普段の何倍も難しく感じる。トポではハングを超えた後、右に回り込み、凹角でピッチを切るとなっていたが、残置ハーケンにしたがって登った結果、カンテを右に巻き込まずに、左のフェースを登っていってしまった。ロープを40mほど出したところで終了点を発見しピッチを切る。本来のルートより長い距離を登ったため、途中からどんどん減っていくヌンチャクに肝を冷やされた。

核心部の「鼻」

核心部を登り切ると馬の背のようなリッジが続く。トポではなく残置に従って登ったのだが、ピッチを短く切りすぎてしまい、山頂まで7ピッチほどはかかったと思う。山頂が見えた時はやっと登ってきたという安堵感を覚えた。

チンネ頂上の真道

山頂にて30分ほど休憩した後、テントばに向かう。池の谷ガリーまでは50mロープを2本つなげた懸垂を2回行ったのだが、途中でロープと石が絡まって落石を誘発するなど、少々危険な箇所もあった。懸垂支点が残されているため、残置に従い25mの懸垂を3回行いガリーに降りた方が安全であろう。ガリーからは前日と同様三の窓へ向かった。

9/15
4時30分起床〜5時30分出発〜7時45分剣岳頂上〜12時馬場島

特筆すべき点はないが、行きと同じルートを辿り山頂に向かう。3連休始めの土曜日ということもあり山頂は早くも人でいっぱいであった。早月尾根でも多くの人とすれ違いながら下山する。いつもながら下山が非常に長く感じられたが、無心で歩く他ない。馬場島に到着後、馬場島荘でシャワーを浴び汚れを落とす。富山駅まで移動した後、各々帰京する。

総括

今シーズンの集大成となる山行であり、今までやってきたことの多くが試される場となった。夏山合宿を経て体力面に関しては特に問題がなかったように感じた。しかし、バリエーションルートでのルートファインディングなど慣れが必要な場面では経験不足を感じた。また、登攀面においても特にスピードが遅く、3人パーティーだったとは言え平均より時間がかかってしまった。今後はゲレンデでの練習を重ねるなど、クライミング力の向上に力を入れていきたい。

試練と憧れは紙一重