2017年度冬山合宿
1.対象:飯豊連峰 地神山
2.期間:2017年12月22日〜12月25日
3.メンバー:4年CL福田、2年SL中島 浅川
4.概要:
12月22日(金)晴れ 18:00部室集合〜22:00出発〜23:10東京駅鍛冶橋バスターミナル発高速バス〜
早稲田界隈は放生寺の冬至祭りのためかなりの人で賑わっていた。人混みをガッシャーで強行突破し18時に部室に集合。3人ということで装備も少ないため、すぐにパッキングを終える。重量は大体40キロ前後になった。年の瀬なので、いつも以上にきれいに部室を片付け、22時に東京駅へ向け出発した。鍛冶橋バスターミナルは相変わらず遠い。やっとの思いでバスターミナルに到着すると、早稲田界隈同様過密状態だった。人混みから逃げるように米沢行きのバスは23時10分定刻通りに出発した。
12月23日(土)雨のち雪 1度
高速バス=05:00JR米沢駅=07:27JR小国駅=08:30国民宿舎梅花皮荘〜09:20西俣ノ峰登山口〜10:10大曲〜12:20西俣ノ峰〜14:30枯木ノ峰〜16:00幕営完了
5時に米沢駅に到着すると雨が降っていた。その後は降ったり止んだり、はっきりしない天気だ。米沢駅から米坂線で1時間半電車に揺られ、小国駅へ。駅の待合室でヤッケに着替えタクシーで国民宿舎梅花皮荘へ。タクシー代は9160円。その後デポ品を奥川入荘手前の大木に置かせてもらい9時に奥川入荘を出発。出発時からワカンを装着した。スノーシューのトレースがあったが、ワカンでは踏み抜いてしまう。20分間で登山口に到着し、いよいよ取り付いた。取付きから痩せた尾根の急登が大曲まで続いていた。取り付きから150mほどの地点でワンポイント岩場の通過があったが、垂らされていたトラロープを使い、難なく通過した。大曲からは雪のたっぷり付いた歩きやすい尾根を膝下のラッセルで西俣ノ峰まで。ここ数日晴れが続いたらしく、想定より雪が締まっていた。しかし、ここからは天気には恵まれず、大曲手前から降っていた雨が強まり、ヤッケを濡らしてしまった。その後30分ほどで雨は雪に変わった。12時20分に西俣ノ峰へ到着。山頂手前でトレースをつけたと思われる単独行の男性とすれ違った。枯木ノ峰まで往復してきたらしい。また、西俣ノ峰ピーク付近の木には、どこかの山岳会のものらしきデポ品がくくりつけられていた。西俣ノ峰からの稜線は小さなアップダウンが続き、東側には2〜3mほどの雪庇が張り出していた。樹林帯があるため稜線は分かるが、樹林帯ギリギリを歩いても時折雪庇の割れ目を踏み抜いてしまう。念のためタイトロープでアンザイレンして枯木ノ峰手前の台地まで。西俣尾根上は膝上までのラッセルをこなして枯木ノ峰手前にたどり着いた。枯木ノ峰周辺は雪の台地が広がっていたため、幕営地とした。掘っても掘ってもフカフカの雪で、整地にかなり手間取り16時に幕営完了。18時に夕食をとり、その後就寝。
12月24日(土)曇りのち雪 −1度
04:00起床〜05:45出発〜06:30大ドミ下コルにてAC設営開始〜07:50AC設営完了、アタック開始〜09:40頼母木山〜10:20地神山北峰〜10:40地神山〜12:15AC帰幕
4時に起床すると無風。寒さも感じなかった。アタック日和だ。天候もいいので、大ドミまでテントを前進させ、余裕があればそこからアタックすることにした。1時間半で撤収完了したが、慣れないタイトロープに手間取るなどして15分余計にかかった。暗い中ヘッドランプを頼りに尾根を登る。すぐに枯木ノ峰に到着し、一旦下りとなるが、下りの尾根上は風で雪が吹き飛ばされるのか一部クラストしている箇所もあった。また、相変わらず東側には雪庇が大きく張り出し、一部崩落していた。尾根の西側の樹林帯のきわを進むことでこれを避けながらコルへ。さらに進むとコルの一段上の平坦地が幕営に適していた。また大ドミまで200mほどと近かったため、ACとした。25日からの冬型に備えて入念に整地、固定を行なった。7時50分にアタック装備で出発。頼母木山へのリミットを10:00、主稜線上での引き返しのリミットを11:30に設定した。ACから上の稜上にも3〜4mの雪庇を確認していたので、ACからタイトロープで前進する。ラッセルは膝下ほど。20分で幕営適地である大ドミを通過し、8時半すぎには計画書で第2キャンプとする予定だった三匹穴に到達した。この周辺の木々は東側に大きく傾いて生えており、枝も西側には伸びていないことからかなりの西風が吹く場所だと分かる。広い雪原ではあるが、幕営地としては一段下の大ドミのほうが良いだろう。三匹穴からは岩やハイマツすら雪に埋もれており、真っ白な斜面にトレースを付けていく。ワカンも沈まないようになり、ペースも上がる。1600mあたりから再び尾根状地形を進むが、ここから先はクラストしていたので、アイゼンを装着した。また、三匹穴から前出の尾根状地形までは目標物のない雪原となっていたため、視界不良時に備えて赤旗を50m間隔で立てた。標高を上げても風がほとんどないため小休止も交えながら、9時半に偽頼母木、9時40分に頼母木山をそれぞれ通過した。頼母木山の山頂標識には1.5m超のエビノシッポが南側に発達していた。
風は10mほど吹いているが、飯豊山や朝日連峰、上越の山々が見渡せる。主稜線から臨む日本海も格別だ。また想像していたより雪庇も発達しておらず、広い尾根を楽しみながら登っていく。主稜線はハイマツの踏み抜きはあるが、クラストしているためラッセルはなし。全山縦走の際は頼母木山から1日で北脵岳を越えて梅花皮小屋も十分射程圏内だ。地神山北峰の登りを軽々こなし、地神山北峰から地神山を仰ぎ見る。近づいて見ると意外と高さを感じた。ただ、歩いてみるとそんなことはなく、20分足らずで地神山に登頂した。地神山からは北脵岳がすぐ近くに見えた。門内岳は真近に迫る荒天の予報と、引き返しリミットまでにはたどり着けなそうだったことから断念した。
山頂に20分ほど滞在し、下山の準備に取り掛かる。主稜線上は地神山までも雪庇がなく、視界も効くので地神山山頂でタイトロープを解除し、一斉に下山開始。下山は急いだつもりはないものの驚くほど早く、15分で頼母木山に到着した。
引き返しリミットの設定をもう少し後ろ倒ししてもよかったか。頼母木山で休憩し、ACまで一気に下った。12時15分にACに到着した。
12月25日(月)風雪 6度
04:30起床〜06:00出発〜07:00枯木ノ峰〜08:00西俣ノ峰〜09:00十文字池〜09:30大曲〜10:15西俣ノ峰登山口〜11:00国民宿舎梅花皮荘=タクシー=JR小国駅 解散
夜の間中風雪がテントを叩き続けていた。暴風ブロックが破壊されたものの、降雪はさほど多くなく、テントラッセルは必要なかった。朝起きると雪ではなく雨になっており、テントがずぶ濡れだ。風速は2〜30mほど。素早く支度し、6時にタイトロープで下山開始。15分ほどで明るくなりはじめた。まずは枯木ノ峰までの登りだが、雨で重みを増したためか、前日まで張り出していた雪庇が崩落している箇所があった。また雨はクラストしていた雪面をも腐らせ、重い雪のラッセルとなっていた。慎重に樹林帯を縫うように前進し、1時間で枯木ノ峰に到着した。相変わらず風は強いが、視界は200mほどとまずまず。そもそも西俣尾根は支尾根は少なめなので、尾根を間違えることもなさそうだ。ひたすら風雪と格闘しながら、膝下から膝上のラッセルをし続け8時に西俣ノ峰に到着した。ここまで、ルートを指し示すかのように立ち並ぶ木々のおかげでいいペースで来られた。
あとは急な尾根を長者原まで下るだけだとたかをくくっていたが、ここからが核心だった。雨のため、雪面はまるで残雪期かのように腐り、10歩に1歩腰まで雪に嵌ってしまう。西俣ノ峰から標高を下げても、一向に弱まらない風にバランスを崩されるため、踏み抜きが多いのだ。ペースを落としたものの、9時に十文字池、9時半に大曲を通過した。大曲から長者原は風は収まるものの尾根が痩せているため、慎重に下る。積雪がかなり減っており、踏み込むと雪がずるりと剥がれ山肌が露出するほどだ。あまりに歩きにくいので、ワカンを外してツボ足で下った。行きに難なく超えた雪の付いた岩場も、足場にした雪が剥がれ落ちるなど少々危険なため、トラロープを掴みながらゆっくり下った。この岩場を下りきると長者原はすぐそこだ。緊張も緩み、転げるように登山口へ。
登山口から奥川入荘までも、踏み抜きが多く、最後の最後まで苦しめてきた。しかし、それをも楽しみに変えながら歩き、奥川入荘のコンクリートに下り立った。デポを回収し、梅花皮荘へ11時に下山した。梅花皮荘に挨拶し、温泉に入らせていただいた。飯豊温泉の茶色のお湯と、湯船に浸かりながら見上げる白い飯豊連峰は格別だった。汗を流し、温まったあと、食堂で美味しい昼食を食し、梅花皮荘をあとにした。梅花皮荘からタクシーで小国駅に到着すると(9160円也)、米坂線は運休とのこと。しばらく待つと坂町方面への救済バスが到着したので、浅川を見送った。待てど暮らせど、米沢方面へは電車もバスも出ないとのことなので、仕方なくタクシーで米沢駅へ。米沢市内でも猛吹雪となっており、電車のダイヤは大幅に乱れていた。米沢駅から2時間遅れの新幹線に乗車し、各自帰宅の途についた。
総括
冬期の飯豊連峰であり、また年末の大寒波襲来予報もあったことから、かなりの悪天候、ラッセルを想定したうえでの出発であった。結果として、予想よりも天候、積雪条件などが厳しくなかったとはいえ、冬期の飯豊連峰を舞台に目的に達成し、無事下山できたということは収穫だと思う。特に、スピード感のある行動により、迫り来る荒天に捕まる前に下山できた点は集中力と意思の疎通の両面での成長を示すものであっただろう。また、ラッセルを含めた体力面や生活技術なども向上していた。タイトロープを結んでいたため、1人のラッセルする時間が長くなっていたが、ペースを落とさず歩いていたし、冬期でも起床から出発まで1時間半で完了することができた。かなりスムーズに山行を終えられたように感じる。隊としてのチームワークの強化を実感できた点であった。
ただし、今回のルートが、ルート上に危険箇所はほとんどなく、難易度が低かったことも忘れてはいけないだろう。常に余裕がある中だったため、実力が発揮できただけかもしれない。春山の飯豊山は確実に今回よりも厳しくなる。より追い込まれる状況でも実力を発揮できるように山行やトレーニングで限界値を押し上げていくことが必要である。
それにつけても飯豊連峰はいい山であった。
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